1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドラジンを用いたペロブスカイト型化合物粉体の合成と焼結体の作製
Project/Area Number |
06650969
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣田 健 同志社大学, 工学部, 助教授 (30238414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修 同志社大学, 工学部, 教授 (40097861)
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Keywords | ヒドラジン / ペロブスカイト / ランタンクロメイト |
Research Abstract |
本年度は,ヒドラジン法によりペロブスカイト型構造をもつLaCrO_3を合成し,その粉体特性を評価した. 塩化ランタン七水和物と塩化クロム六水和物を出発物質とし,La^<3+>/Cr^<3+>=1/1モル比の混合水溶液を調製し,50℃に加熱後ヒドラジン一水和物((NH_2)_2・H_2O)を添加撹拌し,得られたゲルを洗浄後乾燥することにより原料粉体を合成した.XRD,DTA,TGにより粉体は非晶質であり,加熱すると500°〜530℃でLaCrO_4(単斜晶)が結晶化し,さらに780°〜840℃でペロブスカイト型構造をもつLaCrO_3(斜方晶)に相転移することがわかった.このLaCrO_4とLaCrO_3について格子定数を求めたところ,以前報告された値と一致した.透過電子顕微鏡により,非晶質粉体は一次粒子径が約20nmの凝集した粒子であり,LaCrO_4(530℃にて加熱)は約0.1〜0.16μm,LaCrO_3(850℃にて加熱)は約0.2μmの粒子径の粉体であることがわかった.次にLaCrO_4とLaCrO_3の粉体赤外線吸収スペクトル(IR)を測定した.LaCrO_4には935,830,800,720cm^<-1>に4本の吸収ピークが観察され,これらはCr_2O_7^<2->の存在を示唆した.LaCrO_3のIRスペクトルは,685〜585cm^<-1>にのみ強い吸収がみられ,これはCrO_4^<2->の存在による(Cr-O)の伸縮振動に基づくことがわかった.粉体の粒子径の温度変化を,非表面積(BET)を測定することにより調べた.その結果,非表面積は原料粉体の約16m^2/gから,600℃(LaCrO_4)で約6m^2/g,900℃(LaCrO_3)で約4.9m^2/gと単調に減少することがわかった. 以上のことから,本研究ではヒドラジンを用いた粉体合成法により,約850℃で粒子径約0.2μmのペロブスカイト型構造をもつLaCrO_3が得られることがわかった.
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