1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドラジンを用いたペロブスカイト型化合物粉体の合成と焼結体の作製
Project/Area Number |
06650969
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣田 健 同志社大学, 工学部, 助教授 (30238414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修 同志社大学, 工学部・機能分子工学科, 教授 (40097861)
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Keywords | ペロブスカイト / ヒドラジン |
Research Abstract |
ペロブスカイト型化合物をヒドラジンを用いて合成する際に生じる種々の問題を解決するため,PbZrO_3の粉体合成とそのキャラクタリゼーションを検討した. ジルコニウムアセチルアセトネート(Zr(C_5H_7O_2)_4)と酢酸鉛(II)三水和物(Pb(CH_3COO)_2・3H_2O)を出発物質とし,それぞれをエタノールと水に溶かした後,両者の混合溶液(pH 5)を75℃に加熱し,pHが9になるまでヒドラジン一水和物((NH_2)_2・H_2O)を滴下した.得られたゲルを洗浄後乾燥することによりZrO_2/PbO=100/0〜45/55モル%組成の粉体(粒径【approximately equal】10nm)を調整した.ZrO_2/PbO=45/55モル%組成の粉体以外,他の粉体は非晶質であり,加熱すると390°〜590℃で結晶化しPbOが30モル%組成までは正方晶ジルコニア(t-ZrO_2)固溶体,30〜50モル%組成では立方晶ジルコニア(c-ZrO_2)固溶体が生成した.なお,PbOが55モル%組成の粉体では非晶質物質以外に少量のPb(CO_3)_2(OH)_2が認められた.このPb(CO_3)_2(OH)_2は230°-285℃で脱水してPb_2OCO_3に,さらに330°-380℃で分解して正方晶PbO(リサージ)に,【approximately equal】500℃で斜方晶PbO(マシュコット)へ相転移することがわかった.t-ZrO_2固溶体は【approximately equal】800℃で,ZrO_2/PbO=50/50モル%組成以外のc-ZrO_2固溶体は640°〜740℃で,PbZrO_3とt-ZrO_2に相分離した.等モル組成のc-ZrO_2固溶体は615°〜690℃でペロブスカイト構造のPbZrO_3に相転移(生成)し,低温度でPbZrO_3粉体が得られることがわかった.相転移によるPbZrO_3の生成は,価値のある結果であり,ペロブスカイト型構造をもつ化合物の合成に適用できる応用範囲の広い合成方法である.
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