1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルキルラジカルの付加反応を利用する新規なアルキルボランの合成
Project/Area Number |
06650973
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
星 雅之 北見工業大学, 工学部, 助教授 (00113712)
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Keywords | アルキルボラン / アルキルラジカル / トリブチルスズハイドライド / アルキルハライド / ハイドロボレーション |
Research Abstract |
アルキルボランはアルケンのハイドロボレーションによって容易に得られるが、ほとんどの非対称な内部アルケンは位置選択的にハイドロボレーションすることができず、位置異性体の混合物を与える。従って、非対称な内部アルケンを位置選択的にハイドロボレーションしたと同等のアルキルボランが合成できれば、これまで報告されている反応の適用範囲を大きく広げることができる。そこで、本研究ではトリブチルスズハイドライドをラジカルメデイエーターとする電子不足アルケンへのアルキルラジカルの位置選択的付加反応を利用し、通常の方法では得られないアルキルボランの合成を目的とする。 前年度は、フェニルアセチレンをモノハイドロボレーションして生成する2-フェニルエセニルボランをホウ素基を有する電子不足アルケンと見なし、それへのアルキルラジカル(アルキルハライドとトリブチルスズハイドライドから生成する)の付加反応による新規なアルキルボランの合成について検討した。今年度は、ハイドロ原子を有するアルケンをハイドロボレーションして得られるアルキルボランをアルキルハライドと見なし、それとトリブチルスズハイドライドとの反応によってホウ素基を有するアルキルラジカルを生成させ、その電子不足アルケンへの付加反応による新規なアルキルボランの合成について検討を行なった。ハロゲン原子を有するアルケンとして3-ブロモ-1-プロペンを用いて基礎的な実験を行なった結果、ホウ素基を有するプロピルラジカルの生成までは認められた。しかし、その電子不足アルケンへの付加反応は調査した反応条件下ではほとんど進行せず、非常に困難であることを示唆した。これは用いた基質によるためとも考えられるので、他のハロゲン原子を有するアルケン(一般的に高価)を用いて検討する必要がある。
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