1994 Fiscal Year Annual Research Report
位置及び立体選択的ワッカー型酸化反応の開発と有機合成への応用
Project/Area Number |
06650982
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細川 隆弘 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90029520)
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Keywords | パラジウム一銅複合触媒 / 不斉アセタール化 / ヘキサメチルホスホルアミド / 環状アミド / オキサゾリジノン |
Research Abstract |
省資源、省エネルギーの観点に立って、位置および立体選択性が高度に制御された効率の良い触媒反応を開発するため、パラジウム触媒を用いたアルケンの位置及び立体選択的ワッカー型酸化反応の開発に関する研究を行なった。特に、我々が見い出している次の二つの反応について重点的に検討した。1)パラジウム一銅複合系触媒を非水溶媒中で用いアリル系オレフィン末端位を分子状酸素により位置選択的に酸素化する反応。2)パラジウム触媒によるプロキラル末端オレフィンの不斉アセタール化反応。それぞれの項目について、本年度では以下の成果を得た。 1)ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)を配位子とするPd-Cu複合系触媒を用いて4〜6員環アミドを分子内に持つアリル化合物を分子状酸素で酸化すると、対応するアルデヒドが生成することが判明した。アルデヒド選択性は6員環アミドの場合に最も良い値を示した。また,アリルアセタートも比較的良い選択性で対応するアルデヒドを与えることがわかった。なお、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)の代わりに尿素誘導体を配位子として、あるいはPd-Zn系複合触媒を採用したが,触媒活性を改善するには至ってない。 2)種々の置換基Rを持つキサゾリジノン環を組み込んだアクリル酸誘導体の中で、フェニルグリシンから得られるキサゾリジノン(R=Ph)を用いると、グラムスケールの不斉アセタール化反応が行えることが判明した。反応性および立体選択性は共に良好で、光学活性ヒドロキシアセタールが合成できることが明かとなった。 なお、塩化パラジウム錯体と塩化第二銅をHMPAと組み合わせた複合系触媒を分子状酸素存在下で反応させると、酸素原子が取り込まれたPd-Cu複合錯体が初めて単離された.本研究で実施している酸化反応の触媒活性種に関して新しい知見となるこの詳細については、次年度で検討する。
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[Publications] T.Hosokawa: "Preparation and Characterization of a Pd-Cu Heterometallic Complex and Its Catalytic Activity towards Oxygenation of Alkenes." J.Chem.Soc.,Chem Commun.,. 725-726 (1994)
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[Publications] T.Hosokawa: "Elimination in the Pd(II)-catalyzed Reaction of Methyl(αHydroxymethyl)acrylate with Alcohols." J.Organometallic Chem.,. 470. 253-255 (1994)