1994 Fiscal Year Annual Research Report
電子不足アリルスズの特異な反応選択性と多官能性1,4-ジヒドロピリジン類の合成
Project/Area Number |
06651006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 良平 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40115960)
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Keywords | アリルスズ / 1、4-ジヒドロピリジン / 有機金属化学 / 複素環化学 / マイケルアクセプター |
Research Abstract |
含窒素複素環化合物に種々の多官能性炭素置換基を選択的に導入する手法の開発は、様々な生理、薬理活性物質を持つ複素環化合物あるいは医薬品を有効に合成するために大変重要な課題である。 本研究者は、2位にメトキシカルボニル基あるいはシアノ基のような電子求引性基を持つ電子不足アリルスズと4位にカルボニル基を持つピリジン類をクロロギ酸メチルを活性化剤として用いて反応させたところ、4位の置換基による立体障害にもかかわらず、ピリジン環の4位で選択的に付加反応が起こることを見い出した。 まず、クロロギ酸メチルを活性化剤として用いて、4位にフォルミル基、メトキシカルボニル基、アセチル基、そしてベンゾイル基を持つピリジンに対して2-メトキシカルボニル-及び2-シアノアリルスズとの反応を行ったところ、1、4-付加が優先的に進行し、4、4-ジ置換1、4-ジヒドロピリジン誘導体が選択的に得られた。またその選択性は、より電子求引性が高いシアノ基を持つ2-シアノアリルスズにおいて、より増大することがわかった。通常のアリルスズを用いた時には1、2-付加生成物のみが得られることから、この位置選択的1、4-付加反応は電子不足アリルスズに特徴的な反応特性と考えられる。 一方、4位にシアノ基を持つピリジンとの反応ではこのような選択性は認められず、特に2-メトキシカルボニルアリルスズとの反応では1、2-付加体が独占的に得られたことから、この電子不足アリルスズの1、4-付加選択性の発現には、ピリジンの4位のカルボニル基が関与している可能性が示唆された。 さらに、本手法をイソキノリン及びβ-カルボリン系に対しても適用し、これらの含窒素複素環にマイケルアクセプターを簡便に導入できることがわかった。さらに、α-メチレン-β-ラクタムの合成法も開発した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ryohei Yamaguchi: "Divergent Change of Pegioselectivity in Nucleophilic Addition of Electron Defficient Allylic Tin Peagents to 4-Acylpyridinium Salts." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.981-982 (1993)
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[Publications] Ryohei Yamaguchi: "Facile Introduction of Michael Acceptors into Nitrogen Heterocycles.A New Efficient Route to Fused 2-Methylene-γ-lactams" Chem.Letl.1809-1812 (1994)