1994 Fiscal Year Annual Research Report
環化付加反応の制御による抗ウイルス活性ヌクレオシド類の合成
Project/Area Number |
06651012
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
染川 賢一 鹿児島大学, 工学部, 教授 (10041534)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 富美子 鹿児島大学, 工学部, 教務職員 (90229948)
植村 寿子 鹿児島大学, 工学部, 助手 (20041535)
下茂 徹朗 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (80041565)
|
Keywords | HIV / 抗ウイルス / 光環化付加 / 炭素環ヌクレオシド / 炭素オキセタノシン |
Research Abstract |
最大の難病とも言えるAIDSの治療薬として現在世界で、AZTを含む4種類の酸素5員環ヌクレオシドが臨床認可されているが、問題点も多く新たな治療薬の開発が急務となっている。一方、新たに発見された酸素四員環ヌクレオシドに触発されて合成された炭素四員環ヌクイレオシド類の広い抗ウイルススペクトルが注目されてきた。 本研究では、先ず特に注目の炭素オキセタノシンA(I)の高効率的合成を行った。即ち酢酸ビニルと無水マレイン酸との光環化付加反応を所望の配向・立体選択的に行う方法を開発し、さらに誘導して、必要な立体配置の置換基をもつ炭素四員環(II)を3段階で調製した。次にIIとアデニンとの結合反応と立体異性化を弱塩基で行い、(III)、次いで還元して所望のIに導いた。IIのall-cis置換立体配置の原因は分子軌道法を用いて説明できた。 次ぎにIの光学活性化のための検討を行った。先ずIIを光学活性化する化学的方法ではメントールを用いるエステルの結晶化分離法が一応成功した。しかし収率的にはよくなかった。一方、リパーゼ等を用いるIIの加水分解反応が、条件の選択により光学活性な1-体のIIを与えた。この方法は高効率化のため、IIIへの検討なども行う必要がある。得られたIIを同様にしてアデニンと結合し、還元して光学活性なIを得た。今後このIを用いた抗ウイルススペクトル評価を行う。また同様の方法で類似のヌクレオシドを合成し評価する。 次に炭素五員環部を持つヌクレオシド合成については、シクロペンタジエンを用いた[4+2]付加物数種を酸化反応等で所望の骨格・置換基を保持するようにし、アデニン等と結合する実験を行っている。
|