1995 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識能を有する有機アルミニウム化合物を固定化反応剤とする流通系合成反応の開発
Project/Area Number |
06651015
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Research Institution | Suzuka National College Technology |
Principal Investigator |
長原 滋 鈴鹿工業高等専門学校, 工業化学科, 講師 (80124048)
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Keywords | 分子認識 / 有機アルミニウム化合物 / ルイス酸触媒 / エステル化 / 高分子錯体触媒 / 流通系合成反応 |
Research Abstract |
分子認識能を有する有機アルミニウム固定化ルイス酸反応剤を用いた流通系合成手段を確立することを目的として,本年度は流通系反応として適用するヘテロ官能基の変換反応の開発を重点的に実施した。 1.昨年度開発した分子認識能を有するモノメチルアルミニウム化合物及び高分子有機アルミニウム化合物を触媒とするティシュチェンコ型エステル化反応について検討したところ,エポキシ化合物及びアルデヒド類のティシュチェンコ型エステル化反応は,いずれもある種の転位し易いエポキシ化合物,例えばtrans-スチルベンオキシド等を触媒量添加しなければ進行しなかった。モノメチルアルミニウム化合物及び高分子有機アルミニウム化合物はtrans-スチルベンオキシドと反応することにより活性化され,本エステル化に対して触媒作用をもつようになると考えられる。したがって,本反応は,アルミニウム化合物をエポキシ化合物により活性化することが必要であるため,均一系合成反応としては貴重な知見が得られたが,有機アルミニウム固定化ルイス酸触媒を用いた流通系合成反応として適用することは困難であると判断した。 2.分子内に転位可能なエポキシ環をもつアルデヒドであれば,有機アルミニウム触媒を活性化することなく分子内のティシュチェンコ型エステル化反応が進行すると考え,エポキシアルデヒド化合物のティシュチェンコ型エステル化反応によるラクトン合成について検討した。α,β-,β,γ-及びγ,δ-エポキシアルデヒドに対して,モノメチルアルミニウム化合物を触媒として作用させたところ,いずれのエポキシアルデヒドからも目的のラクトンを合成することはできなかった。しかし,β-γ-エポキシアルデヒドからは良好な収率で不飽和ギ酸エステルが生成したため,現在各種のβ,γ-エポキシアルデヒドを用いて検討中である。
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