1994 Fiscal Year Annual Research Report
翼端漏れ渦の非定常挙動及び後置翼の非定常空気力に対する影響の解明
Project/Area Number |
06651065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 紀徳 東京大学, 工学部, 助教授 (10201211)
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Keywords | 非定常内部流 / 翼列流れ / 翼端渦 / 翼端間隙 / 非定常空気力 / ターボ機械 / 翼列干渉 / 振動翼列 |
Research Abstract |
本年度は始めに3線式熱線風速計による三次元非定常流速の測定技術確率を目指し、熱線プローブを製作した。ついでキャリブレーションを行い、熱線出力信号から流速ベクトルを算出するソフトウェアを開発した。定常翼端渦の流速ベクトル計測結果を5孔ピト-管を用いた既存の実験結果と比較し、計測法の妥当性を確認した。 3線式熱線風速計を用いて翼端渦の非定常挙動を測定するため、NACA65シリーズの対称翼を含む翼加振装置と、回転円柱列の後流により周期変動流を発生させる後流発生装置を作製した。既存の定速吸い込み風洞測定部に、製作した翼を鉛直壁面との間に間隙を持たせて設置した。後流発生装置によって得た周期変動流を翼にあて、翼端部下流で流速分布を測定した結果、円柱後流の速度欠損部が翼端に到達すると翼端渦が急速に消滅し、速度欠損部が通過するともとの状態に回復するという、渦の時間変化が捉えられた。また、回復過程ではわずかに渦が巻き上がった段階で、乱れた速度ベクトル場が暫く続くことを見い出した。この状態は変動する円柱後流の速度場と翼端渦とが干渉して生じると考えられるが、詳細の解明には到っていない。更に翼加振装置を用いて供試翼を並進振動させ、翼端部下流で流速分布を測定した結果、空間的にかなり広い範囲で流速ベクトルの時間変動が生じていることがわかった。理論解析については既存のプログラムを改造し、翼端渦の位置及び強さが翼後縁から一定の範囲内で任意に時間変動する場合に、翼に誘起される非定常空気力を算出する特異点解析法を開発した。 以上のように本年度の研究により研究手法が確率され、基礎的な実験データを取得することができた。今後は実験を更に続けて翼端渦の非定常挙動を詳細に解明するとともに、非定常圧力計測翼を下流に設置し、変動する翼端渦が後置翼の非定常空気力に及ぼす影響を、実験と理論解析で明らかにする計画である。
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