1994 Fiscal Year Annual Research Report
コムギWaxy遺伝子による胚乳デンプン低アミロースの発現調節
Project/Area Number |
06660001
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
三浦 秀穂 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10173981)
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Keywords | 植物育種学 / コムギ / 遺伝子分析 / Wxタンパク質 / 染色体 |
Research Abstract |
イネ科穀類の胚乳デンプンは,主としてアミロースとアミロペクチンから構成され,アミロースの合成はWaxy遺伝子の支配を受ける。この構造遺伝子は結合型デンプン合成酵素をコードし,2倍体のイネやトウモロコシ,オオムギでは,Waxy遺伝子の産物であるWxタンパク質を欠落した品種はアミロースをほとんど含まないモチ性デンプンを生産する。A,B,Dゲノムからなるコムギでは,小麦粉品質を遺伝的に改良する上で,それぞれのゲノムのWaxy座が司るWxタンパク質とアミロース含量の対応関係の理解が重要であると考え,本年度の試験でWaxy遺伝子の効果をWxタンパク質の量とアミロース含量から検討し,つぎのような結果を得た。 1.染色体欠失系統および品種間相同染色体置換系統では,AゲノムとDゲノムのWaxy遺伝子を不活性な状態にすると,それらがコードするWxタンパク質は生産されず,アミロース含量は欠失系統では変化しなかったが,置換系統では1%以上減少した。 2.BゲノムのWaxy遺伝子の削除は,Wxタンパク質とアミロース含量をともに低下させたことより,3つの遺伝子の中でアミロース含量の変動に大きく関与することがわかった。 3.低アミロースコムギ「関東107号」を対象に,独自に育成したWaxy遺伝子の座乗する染色体それぞれを1本欠いたモノソミック系統を戻し交雑8回経た段階で調査した結果,期待どうりDゲノムのWaxy遺伝子がコードするWxタンパクは減少し,アミロース含量は5%低下した。 以上結果は,ゲノムを異にする3つのWaxy遺伝子の間にはアミロース合成の過程で調節機構が介在することを示唆している。今後これらの情報をもとに詳細な解析を計画している。
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