1996 Fiscal Year Annual Research Report
コムギWaxy遺伝子による胚乳デンプン低アミロースの発現調節
Project/Area Number |
06660001
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
三浦 秀穂 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10173981)
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Keywords | 植物育種学 / コムギ / 遺伝子分析 / 染色体 |
Research Abstract |
イネ科穀類の胚乳デンプン-アミロース合成は,Wx遺伝子にコードされるデンプン粒結合型酵素タンパク(Wxタンパク質)がコントロールする.A,B,Dゲノムからなるコムギでは,同祖的な3つのWx遺伝子が7AS(Wx-A1),4AL(Wx-B1),7DS(Wx-D1)に座乗している.本研究では"Chinese Spring"(以下CS)のWx座を欠く異数体とWx座染色体それぞれをnull alleleをもつ品種の相同染色体で置換した系統を北見と帯広で栽培し,小麦粉特性に及ぼすWx座の影響を見た.N7AT7B,CS(KT7A)1,2はWx-A1タンパク質,DN4AL-2,CS(KT4A)1,2はB1タンパク質,N7DT7B,CS(BH7D)1,2はD1タンパク質欠失系統である.対照に農林61号(N61)を加えた. 1996年に帯広畜大実験圃場と北見農試圃場で標準栽培して得た小麦粉を基本材料とした.ただし帯広では雨害回避のため開花後ビニルハウスで試験区を覆った.調査した小麦粉特性は最高粘度と粗タンパク含量,デンプンのアミロース含量である. Wxタンパク質が正常で基準としたCSとN61のアミロース含量は24%程度で,地域間に差異がなかった.Wxタンパク質欠失系統は期待されたようにいずれも低下し,CSより1%以上低くかった.Wx-B1タンパク質欠失系統は北見では2%以上低下した. CSの最高粘度は帯広の材料でやや高いものの,いずれのWxタンパク質欠失系統も北見で栽培するとCSを上回った.とくにWx-B1タンパク質欠失系統で顕著で,次いでWx-A1タンパク質を生産しないCS(KT7A)の順であった粗タンパク質含量はいずれの系統も北見で栽培したとき低下した.Wx-A1およびD1タンパク質欠失系統は帯広で栽培するとCSより高まり,逆にWx-B1タンパク質を欠いた系統は北見でCSより低下していた.その結果,これら欠失系統の変異は地域間で拡大した.
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