1994 Fiscal Year Annual Research Report
アズキ在来品種間にみられる収量関連形質の変異と環境適応
Project/Area Number |
06660014
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
寺井 謙次 秋田大学, 教育学部, 教授 (00113902)
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Keywords | 白い豆 / シロアズキ / 在来品種 / 在番地域 / 品種生態 / 生育特性 / 収量特性 / 生態型 |
Research Abstract |
今年の研究では,1)福島県と新潟県の2県の農業試験研究機関および農業団体を通して,シロアズキの分布の概況を把握し(事前調査)、2)分布の可能性が高い現地において聞き取りと種子の収集を行い(現地調査)、さらに、3)保存中の種子を用いて、生育・収量特性の比較や増殖を行うために圃場試験を実施することを目的とした。 その結果、1)4年前の予備調査での状況から考えると、在来品種の消失が急速に進んでいることは明かであった。2)情報の基づく現地調査においても、栽培が極めて局所的であるために、当初の計画の収集点数には及ばず、両県の調査を継続する必要性を認めた。両県において、シロアズキの種子在来を9点を収集したが、灰白色・茶褐色が混じったものもあり、粒大や光沢においても変異は著しかった。聞き取り調査において、ここ10年位の間にかぎれば、新潟県では豆類在来品種や雑穀類の栽培地の分布消失の危険性がより高い印象を受けた。探索収集の実施において、対象地域、時期、収集方法において大きな問題はなかったと思われるが、農家への突然の訪問では主旨の説明が必ずしも十分とはいかず、収集体制において、試験研究機関や農業団体の協力を得ていくことも必要であると感じた。 保存種子を用いた生育・収量調査結果の分析は現在も継続中である。今年度は、試験期間中、きわめて高温で経過した。その結果、各系統との栄養成長量が大きくなり、結実過程茎長・節数・分枝数などで分類していた各系統の「骨格」の特徴差が(昨年の結果に比べ)小さくなった。しかし、高温のために多分枝系統群には蔓化の傾向をみせた系統も多く、こうした系統群では、落花や落莢をともなう結実期間の長期化によって結実の斉一性の低下が著しかった。在来系統群では分枝着莢型が必ずしも「多収型」とはなっていないということの大きな理由と考えられ分析を続行中である。
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