1994 Fiscal Year Annual Research Report
新噴出火山灰による作物生育被害の発生機構と対策法に関する作物学的研究
Project/Area Number |
06660020
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
角 明夫 鹿児島大学, 農学部, 講師 (70154622)
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Keywords | 火山灰 / 光合成量 / 遮光 / 収量 / 生育 / 土壌改良 |
Research Abstract |
平成6年度は,火山活動による農業被害の状況を桜島を例に再検討すると同時に,乾いた火山灰の堆積の影響と耕地土壌への火山灰堆積の影響について検討を行った。 桜島におけるいくつかの主要作物についてその生産動向を検討した結果,火山活動の活発化した後多くの作物で生産量の急速に低下していた。とくに、ミカンの収量は被害発生前の数パーセント以下にまで大きく低下しており,これまでとられた諸対策についての再検討の必要性が考えられた。 乾いた火山灰の葉面への堆積は,光合成量の低下を招き,強いては乾物増加を停滞させるが,その被害程度は被覆上面に火山灰が堆積した場合よりも軽微であった。これは,火山灰堆積後に出葉した葉の光合成による被害軽減効果であると同時に,堆積葉自体の光合成も堆積面(上面)における受光量から推定される光合成量よりも高く維持されていることが関与していた。一方,被覆を介しての間接堆積では,施設内への透過光量の継続的な減少による葉の陰葉化が観察された。遮光期間の長期化は,除灰後の生育回復にも影響すること,さらにこれには光環境改善直後に被る水ストレスも関与していることが示唆された。 耕地土壌への火山灰の混入率の増加に伴って作物生育量は急速に低下した。これには,火山灰混入による土壌の物理的および化学的劣化の両面の影響が関与していることが検出された。火山灰100%の条件下でも,株もとを普通土壌に置換するだけで著しい生育の改善効果が認められることが再確認された。この効果は同量の普通土壌を火山灰に混和させた場合の効果を大きく上回った。また置換による効果は直根性の作物で特に顕著であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)