1994 Fiscal Year Annual Research Report
Gene-for-Gene説の分子的基盤の解析-ダイズ疫病菌非病原性遺伝子の単離
Project/Area Number |
06660044
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岡 直人 北海道大学, 理学部, 助教授 (60174588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 洋二 北海道大学, 理学部, 助手 (10250416)
吉川 正明 北海道大学, 理学部, 教授 (00046509)
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Keywords | Gene-for-Gene説 / 非病原性遺伝子 / エリシター |
Research Abstract |
本研究を遂行するに当たって、まずダイズ疫病菌の生理学的諸性質についての検討を行った。これまで、本申請者らが行ってきた一連の研究は、すべて本菌の菌糸を用いておこなってきたものである。その理由は、菌糸が安定して得られることと、本菌の自然界における感染手段である遊走子を大量に得ることができなかったためである。しかしながら、菌糸を用いて接種する場合、菌糸独自では感染能力が低く、人為的に宿主組織に傷をつけてその部位に菌糸を挟み込んでやる必要があった。この方法はファイトアレキシンの蓄積等を調べるためには支障のないものであるが、自然界で認められる本来の感染様式ではないため、菌と植物の間に認められる特異性がどの様な要因によって決定されるのかについて厳密に調べるためには、適当な系であるとは言えない。さらに、形質転換の系に供するプロトプラストの分離や特異的エリシターの検索にとって、遊走子の大量形成は不可欠である。このような理由から、ダイズ疫病菌の遊走子大量形成のための諸条件を検討することが最も重要な課題であると思われた。そこで本菌の培養条件ならびに遊走子形成条件について種々検討した結果、本菌を培養する過程に於て、ダイズの種子成分を培地に添加すること、培養日数を従来より短くした段階で遊走子形成処理を行うことが、本菌の遊走子大量形成にとってきわめて重要でることが判明した。 以上の実験結果を踏まえて、本菌と親和性の関係にあるハロソイ、非親和性の関係にあるハロソイ63のそれぞれの品種に遊走子を無傷で接種することを試みた。その結果、感受性品種であるハロソイでは病斑が広い範囲にわたって形成されたのに対し、ハロソイ63では病斑が接種部位に限定され、それ以上広がることはなかった。このことは、本菌が感染時に、ハロソイ63に抵抗性を誘起するようななんらかの物質を分泌していることを強く示唆するものであり、その物質は本菌の非病原性遺伝子の発現によるものである可能性が大きい。従って現在、この物質の分離同定について検討を加えている。
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