1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒエ属植物の水田,畑雑草への種分化とそれらの生理,生化学的適応様式の解析
Project/Area Number |
06660050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山末 祐二 京都大学, 農学部, 助教授 (60093332)
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Keywords | Echinochloa植物 / ヒエ属植物 / 冠水冠性 / 嫌気発芽性 |
Research Abstract |
実験(1)ヒエ属水田,畑雑草の種子発芽における生理,生化学的適応様式 水田雑草タイヌビエ(Echinochloa oryzicola Vasing.),ヒメタイヌビエ(E.crus-galli Beauv.var.formosensis Ohwi)および畑雑草ヒメイヌビエ(E.C.var.praticola Ohwi)の休眠覚醒種子を供試材料として好気,嫌気条件下にこれら種子を発芽床におき,発芽初期過程におけるO_2吸収,ADH活性,EtOH生成量および発芽率などを比較した。 水田雑草タイヌビエ,ヒメタイヌビエの種子は嫌気,好気いずれの条件下でも発芽し,畑雑草ヒメイヌビエの種子は好気条件のみで発芽し,嫌気条件下では全く発芽しなかった。また,これら水田,畑雑草の種子はともに嫌気条件下でADH活性を増大させたが,EtOHを多量に生成したのは前者のみで後者はほとんど生成しなかった。呼吸酵素活性の変動については現在検討中であり,また,ADHアイソザイムの遺伝様式を解明する実験においても雑種,突然変異株を育成中である。 実験(2)種子発芽の酵素要求性における第二小花内・外頴の役割 これまでの研究で種子発芽に酵素を必要とする畑雑草ヒメイヌビエ種子から第二小花外頴・内頴など外皮を除去して得られる頴果は嫌気発芽性をもち,また,外皮粉末が嫌気条件下で頴果の発芽を阻害することから,この畑雑草種子の酵素要求性には頴果を被う第二小花内・外頴に含まれる酸化還元物質の関与が示唆された。そこで,ヒメイヌビエ種子のこれら内・外頴からポリフェノールなどの分画を抽出し,頴果の発芽に嫌気条件で阻害活性を有すると考えられる物質を探索したところ,一般に発芽阻害作用をもつとされているフェルラ酸,オルトクマ-ル酸が検出された。
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Research Products
(1 results)