1994 Fiscal Year Annual Research Report
ブロモウイルスの宿主特異性と移行性に関する分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
06660051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三瀬 和之 京都大学, 農学部, 助手 (90209776)
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Keywords | ブロモウイルス / 細胞間移行 / 宿主特異性 / 移行蛋白質 / 外被蛋白質 / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
報告者は、すでに遺伝子操作系の確立されたブロモウイルスのbrome mosaic virus(BMV)とcowpea chlorotic mottle virus(CCMV)を用いて、ウイルスの宿主特異性について研究している。本研究の目的は、外被蛋白質遺伝子および宿主特異性に重要な役割を果たしている3a移行蛋白質遺伝子が、ウイルスの細胞間移行において果たしている役割を分子細胞生物学的手法によって詳細に調べることである。本研究では、CCMV/ササゲの系を用い、接種葉における各種変異体ウイルスの移行を細胞レベルで解析するため2つのアプローチを試みた。1.ウイルスゲノム上の3a遺伝子および外被蛋白質遺伝子をレポーター遺伝子(β-glucuronidase(GUS)遺伝子)と置換し、組織化学的手法を用いて突然変異体の移行を追跡する。2.ウイルス蛋白質またはウイルスRNAを直接検出し、突然変異体の移行を追跡する。アプローチ1ではGUS遺伝子が期待どおりに活用できなかったので、新たにGFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子をレポーター遺伝子として用いたウイルス検出法の確立を検討する予定である。アプローチ2では、digoxigeninラベルしたプローブを用いたin situハイブリダイゼーションの系を確立できた。この系を用いて突然変異体ウイルスの接種葉における移行を解析した結果、3a遺伝子変異体が一細胞に局在することが示されたことから、3a遺伝子がウイルスの細胞間移行に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、3a遺伝子をBMVの3a遺伝子で置換されたCCMVは、数細胞移行した後に移行を停止したことから、このようなキメラウイルスの移行は宿主植物の何らかの反応によって阻止されていることが示唆された。一方、外被蛋白質遺伝子の欠損変異体のウイルスRNAを今回確立した方法で検出するのは非常に困難なため、次年度はGFP遺伝子をレポーター遺伝子として用い、ウイルスの移行を解析する系の確立を新たにめざす予定である。
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