1995 Fiscal Year Annual Research Report
黒すす病菌の宿主特異的毒素とアラビドプシスを用いた特異性決定の分子機構解明
Project/Area Number |
06660053
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
尾谷 浩 鳥取大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (50032305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 講師 (00183343)
甲元 啓介 鳥取大学, 農学部, 教授 (80032093)
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Keywords | 黒すす病菌 / 宿主特異的毒素 / アラビドプシス / 特異性決定 / 突然変異体 |
Research Abstract |
1.黒すす病菌の宿主特異的毒素の単離と構造決定 これまで報告されている宿主特異的毒素生成菌とは異なり、黒すす病菌(Alternaria brassicicola)は宿主植物上でのみ宿主特異的毒素(以下AB毒素と略す)を生成し、宿主の何らかの成分がAB毒素生成を誘導することが明らかとなった。宿主植物上で生成されるAB毒素は分子量5,000以上の高分子で、熱処理や蛋白質分解酵素処理により容易に失活することから、蛋白質である可能性が示唆された。これまで報告されている宿主特異的毒素は低分子の二次代謝物であり、AB毒素はこの点からも注目される。現在、AB毒素の単離・精製をさらに試みている。 アラビドプシスにおける宿主特異的毒素の特異性決定機構 黒すす病菌はアブラナ科野菜の病原菌であるが、遺伝子解析のモデル植物であるアラビドプシスもアブラナ科植物であるため、アラビドプシス各生態型の黒すす病菌とAB毒素に対する反応性を調べた。その結果、アラビドプシスには感受性と抵抗性を示す生態型が存在し、黒すす病菌とAB毒素に対する反応性も完全に一致したことから、AB毒素とアラビドプシスは植物感染における特異性決定の分子機構解明のためのモデル実験系となることが明確となった。現在、アラビドプシスのAB毒素反応性に関与する遺伝子解析のため、アラビドプシスにおける突然変異体の作出とAB毒素反応性変異体のスクリーニング、AB毒素作用点(毒素受容体)についての実験を進行中である。
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[Publications] Otani,H.: "Molecular Aspects of Pathogenicity and Host Resistance (Edited by Mills,D.and Kunoh,H.)" APS Press (The American Phytopathological Society) ,St.Paul (in press), (1996)