1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 陽三 九州大学, 農学部, 教授 (20038178)
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Keywords | クリタマバチ / チュウゴクオナガコバチ / 生物的防除 / 放飼実験 / 随意的高次寄生者 / 休眠 |
Research Abstract |
(1)熊本県大津町の放飼園における調査 1982年のチュウゴクオナガコバチを放飼したクリ園で、8本のサンプル樹から5月30日、7月14日、8月29日の3回にわたって毎回樹当たり約50個のゴールを採集し、解剖調査と羽化調査を行った。その結果チュウゴクオナガコバチとクリマモリオナガコバチの合計寄生率は8.8%、その他の寄生蜂の合計寄生率は50.0%であった。クリマモリオナガコバチ以外の土着寄生蜂(一次寄生者)の中ではキイロカタピロコバチ(5月下旬〜6月下旬羽化)が最優占種で、次いでクリノタカラモンオナガコバチ(6月下旬〜7月上旬羽化)、オオモンオナガコバチ(9月下旬〜10月下旬羽化)、クリタマオナガコバチ(5月下旬〜6月下旬羽化)に順に多く、クリタマヒメナガコバチとトゲアシカタビロコバチもわずかに寄生していた。 オオモンオナガコバチは自然条件下では秋まで羽化しないが、ゴールから摘出してゼラチンカプセル内で飼育した場合には6月下旬〜7月中旬に羽化したことから、本種は終齢幼虫で夏期に休眠すると推察された。 クリタマオナガコバチ、クリノタカラモンオナガコバチ、トゲアシカタビロコバチ、クリタマヒメナガコバチ及びEupelmus sp.は二次寄生者としても発育する随意的高次寄生者であることが確認された。 (2)茨城県における調査 1982年にチュウゴクオナガコバチが放飼された結果、クリタマバチの密度が激減した茨城県で、5か所のクリ園から6月7日と11月14日にゴールを採集して解剖調査を行った、結果、チュウゴクオナがコバチの寄生率は36.6〜70.3%、その他の寄生蜂の寄生率は4.0〜14.8%であった。随意的高次寄生者の二次寄生による終齢幼虫期の死亡は少なく、6月から11月までの生存率は36.8〜57.4%で、熊本県での過去の値(10〜20%)に比べて顕著に高かった。
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[Publications] Murakami,Y.&Y.Gyoutoku: "A delayed increase in the population of an imported parasitoid,Torymus(Synto-maspis)sinensis(Hymenoptera:Torymidas)in Kumamoto,southwestern Japan" Applied Entomology and Zoology. 30. 215-224 (1995)