1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660069
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Research Institution | Heian Jogakuin (St. Agnes') College |
Principal Investigator |
伊藤 啓 平安女学院短期大学, 生活学科, 助教授 (20213077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 肇 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (80201812)
村岡 雍一郎 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (10074147)
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Keywords | 繭 / 絹 / 黄変 / 化学組成 / 人工飼料育繭 / タンパク質成分 |
Research Abstract |
本研究の目的は、絹糸の黄変機構を解明すべく、黄変に関与する絹糸の化学成分を同定することにある。具体的手法としては、人工飼料育蚕(A)から得られる絹糸の黄変度が小さいことに着目して,天然桑育蚕(M)から得られる絹糸とAの絹糸の化学組成と黄変挙動を対比することによって、黄変に関与する物質を絞り込む方法を用いる。本研究の独走的な点は、「人工飼料育繭糸」という特異な試料に着目して黄変機構の解明を試みる点にある。 平成6年度には、原標準試料となるA及びB繭試料を選定し、両者の試料からセリシンとフィブロインを分離し、それらの化学組成、タンパク質成分組成の差異を調べて、いくつかの進展が見られた。まず、人口飼料育繭(A)の黄変度は桑葉育繭(M)に比べて白度が大で黄変度が小さいことを確認し、さらに、両者の化学組成の差異を検討した。両者のフィブロイン部分のアミノ酸組成及びX線的構造はほぼ同じであった。一方、A試料のセリシン部分は、M試料に比べて、熱水への溶解性が高く、かつ、分別物のアミノ酸組成も若干異なることを見いだした(Textile Res.J.,印刷中)。また、A試料とM試料との黄変度の差異には、熱水可溶の非タンパク質成分量の差異が関与している可能性が示唆された(Int.Wool Text.Res.Conf.,Biella,Italy,1995,発表予定)。黄変化処理(UV照射)の前後でどのような化学変化(トリプファン分析を含むアミノ酸組成分析)が生じるかについても検討した。まず、トリプファン分析の方法について2、3の方法を比較検討し、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド法が有効であることを認めた。分析結果は必ずしも黄変度の程度と相関しない場合が見られた。これは実験データの再現性の問題であると考えており、再現性のある結果を得るために検討(試料の調製、サンプリングの手法など)を平成7年度で行う予定である。
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[Publications] Ito,Muraoka,Mori: "Structure and chemical composition of silk proteins in relation to silkworm diet" Textile Research Journal. 65(in press). (1995)
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[Publications] Ito,Muraoka,Umehara: "Strink-resistant properties and surface characteristics of wool fibers treated with multifunctional epoxides." Textile Research Journal. 64. 440-444 (1994)