1994 Fiscal Year Annual Research Report
塩生植物根における無機養分輸送の耐塩性メカニズムの解析
Project/Area Number |
06660080
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴坂 三根夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
且原 真木 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00211847)
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (60033122)
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Keywords | アツケシソウ / ATPase / 塩ストレス / オオムギ / 原形質膜 / 糖リン酸 |
Research Abstract |
本年度は、高等植物根の細胞膜の透過性に及ぼす高濃度NaCl処理について次のようなことが明らかとなった。 1.高濃度NaCl処理した根を、健全な細胞膜は透過することができない蛍光色素(PI)で染色すると、中性植物であるオオムギの根は250mM NaClではPIが細胞膜を透過していることが明白であるのに対し、塩生植物であるアツケシソウの根の細胞膜は、同濃度のNaCl処理には高い抵抗性を示した。 2.500mM NaCl処理ではアツケシソウ根も弱い部分では細胞膜の健全性を喪失していた。その部分は根の先端より少し基部に寄ったところで、細胞伸長が盛んな部位であった。この部位はオオムギ根でも、最も低濃度で健全性を喪失する部位であった。 3.^<31>P-NMRによる測定では、高濃度NaCl処理でオオムギ根は糖リン酸を急速に喪失していた。酵素化学的分析によってこの事実は裏付けされ、グルコース6リン酸が減少することが判った。しかし、この減少が細胞からの漏出であるかどうかはまだ確定できていない。 4.原形質膜のATPaseは高濃度NaCl処理で活性低下を引き起こした。その程度は中生植物のオオムギよりむしろ、塩生植物のアツケシソウのほうが大きかった。 まとめると、塩生植物と中生植物では細胞膜の透過性に関わる現象について、高濃度NaCl処理に対して異なった応答を示し、我々の予想を裏付けたが、その違いを引き起こす要因についてはまだ確証を得ていない。
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