1994 Fiscal Year Annual Research Report
宿主植物および根圏土壌中での根粒菌の増殖制御におけるポリアミンの機能
Project/Area Number |
06660082
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小沢 隆司 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20152481)
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Keywords | スペルミジン / 過酸化水素 / 窒素固定 / 根粒菌 / 外膜 / 増殖制御 / 共生 / ダイズ |
Research Abstract |
1.ダイス(タフホマレ)の根粒内で,バクテロイドの増殖が停止する時期に,プトレシンとスペルミジン(Spd)が1〜2μmole/g.f.w.蓄積すること,その約1/10は遊離型であることを確認した.これは培地中でのバイテロイドの増殖を阻害するのに十分な量であり,Spdが成熟した根粒中でバクテロイトの増殖抑制に関与していることを示唆している. 2.Bradyrhizobium japonicum138NRのトランスポゾン挿入変異株の中から,10mMSpdに耐性な変異株を4株分離できた.これらの変異株を接種したダイズには親株を接種したものと同程度の数と大きさの根粒が形成した.根粒中のバクテロイド密度は親株と変わらなかった.しかし,バクテロイドあたりの窒素固定活性(アセチレン還元活性)は変異株のほうが親株より2〜6倍高い値を示した. 3.Spdの酸化生成物質であるH_2O_2Sに対するバクテロイドの感受性が感染前の培養菌体に比べ高いこと,Spdとともに牛肝臓カタラーゼを加えるとSpdによるバクテロイドの増殖阻害が見られなくなること,H_2O_2Sにより高い耐性を示す菌株はSpdに対しても耐性が高いことから,Spdによる増殖阻害がSpd酸化により生成するH_2O_2Sによることが示唆された. 4.バクテロイドの外膜透過性を疎水性螢光色素をプローブに用いて評価した.バクテロイドは感染前の培養菌体に比べてきわめて高い外膜透過性を示した.このことはバクテロイドへの分化に伴って外膜構造が大きく変化することを示唆している.増殖に影響を与えない濃度のSpdを与えると,疎水性プローブの外膜透過性の低下や,デイジーンの阻害活性の低下が見られることから,Spdはバクテロイドの外膜構造の安定化にも寄与していると考えられた.
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Research Products
(1 results)