1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660083
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 幸一 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (10110876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸泉 利嗣 北里大学, 獣医畜産学部, 助手 (60230174)
佐藤 裕一 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (90091644)
|
Keywords | X線 / 根成孔隙 / 草地土壌 / 粗孔隙 / 土壌構造 / 団粒 / 孔隙形態 / 土壌物理性 |
Research Abstract |
本研究は、草地土壌の通気・通水と保水機能を司る孔隙形態を究明するため、X線造影法で永年草地の粗孔隙形態の実態と由来、根成孔隙の普遍性の検証、特定の土粒子や団粒が造る孔隙形態、および草地土壌の根成孔隙の形成時期について検討した。供試土は、国内土壌が火山灰質土壌(黒ボク土)、鉱質土壌(マサ土、重粘土)、泥炭質土壌、ポドゾル質土壌(砂質土)、海外土壌が中国ステップ草原土壌の栗色砂質土と英国の重粘土の褐色森林土を対象にした。特定の粒子がもたらす孔隙形態の究明は、石英砂・ガラスビーズ・黒ボク土単粒子と団粒・ミミズ由来の団粒を対象とした。根成孔隙の形成時期は牧草播種後1-6年目の黒ボク土草地を対象とした。 排水・保水領域における各土壌の粗孔隙形態は、土壌の物理性、気象条件、草種で各々特徴があり、殆どが牧草根に由来した円管状の根成孔隙であった。寒冷地における黒ボク土、重粘土、栗色土の緻密な表層部分は、根成孔隙がルートマット層の直下で亀裂面に沿って水平方向や斜め下方向に交叉して発達していた。下層部分の根成孔隙は、土壌密度の低い黒ボク土や、土壌密度の高い栗色土と褐色森林土において鉛直方向に良く発達していた。褐色森林土の表層部分と泥炭土では明瞭な根成孔隙が少なかった。泥炭土は根成孔隙の発達が充分でなかった。 以上の結果、粗孔隙形態は、気象や地中動物の影響を受ける地表部を除くと、殆どが牧草根由来の根成孔隙で、表層部から下層部に連続した毛管網の孔隙構造を呈した。排水性の孔隙は鉛直方向に、保水性の孔隙は水平方向に多く分布していた。永年草地における牧草根由来の管状の根成孔隙の形成は普遍的現象であった。単粒状構造土の孔隙形態は、石英砂、ガラスビーズ、黒ボク土単粒子・団粒が球状や桿菌状の形態を呈し、ミミズ由来の団粒が海綿体状の毛管網構造であった。根成孔隙の形成時期は播種後3年目からであった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 佐藤幸一: "草地土壌の孔隙構造に関する研究 4.X線造影法で測定した英国の褐色森林土草地における粗孔隙の実態" 日本草地学会誌.
-
[Publications] 佐藤幸一: "草地土壌の孔隙構造に関する研究 5.天北地方の重粘土における粗孔隙形態の特長" 日本草地学会誌.
-
[Publications] 佐藤幸一: "草地土壌の孔隙構造に関する研究 6.天北地方のポトゾル土における粗孔隙形態の特長" 日本草地学会誌.
-
[Publications] 佐藤幸一: "草地土壌の孔隙構造に関する研究 7.草地土壌における根成孔隙の形成" 日本草地学会誌.
-
[Publications] 佐藤幸一: "草地土壌の孔隙構造に関する研究 8.土粒子と団粒が造る粗孔隙形態"