1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい好熱性絶対共生細菌Symbiobacteriumの生育要求因子の解明
Project/Area Number |
06660091
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
別府 輝彦 日本大学, 農獣医学部, 教授 (80011873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 末治 東京大学, 農学部, 教授 (80143410)
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Keywords | 絶対共生細菌 / Symbiobacterium |
Research Abstract |
Symbiobacterium thermophilum(SM)の生育を指標として共生生成育因子の精製を以下のように行った。301の混合培養液より得られたBacillus strains(BS)の菌体破砕上清から、硫安沈殿、DEAE Toyopearl、 Butyl cellulofineで精製を行ったところ、成育支持活性が二つの異なるピークとして回収された。各フラクションを続いてMonoQ、 Hydroxylapatite、 非変性PAGEによって精製した結果、両者とも最終的にSDS-PAGE上で分子量約62kDaの単一バンドを示した。精製した二つの蛋白のN末端アミノ酸配列は同一であったがSDS-PAGE上で分子量がわずかに異なっていることから、何らかの修飾が存在すると予想される。N末端配列をもとにクローン化した約480bpのDNA断片の塩基配列を決定してホモロジー検索を行ったところ、様々なバクテリアの糖の取り込みに関与するホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)のEnzyme Iに極めて高い相同性が認められた。 BSおよびSMの染色体DNAから16SrRNA遺伝子に特異的なプライマーを用いて、PCR法で16SrRNA遺伝子を増幅してクローン化、その塩基配列をもとにこれらの菌の分類学的検討をった。その結果BSは一般分類学的指標からもよく似た性質を示すB. stearothermophilusが含まれている好熱性Bacillus属細菌の枝に位置していた。一方、SMは、低G+Cグラム陽性菌群、Fusobacteria群、および高G+Cグラム陽性菌群を包括する大きなグループに含まれるが、それらのいずれの群ともクラスターをなさなかった。このことから、SMは、従来知られた細菌とは系統学的由来が大きくかけ離れた、新しい属として位置づけられることが強く示唆された。
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