1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 速男 東京大学, 農学部, 助手 (90188136)
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Keywords | 乳酸菌 / D-乳酸脱水素酵素 / 基質特異性 / L-乳酸脱水素酵素 / アロステリック酵素 |
Research Abstract |
D-LDH野Glu-264残基は、D-2-ヒドロキシ酸脱水素酵素ファミリーにおいて高度に保存されているが、基質特異性が異なるにも関わらず構造的には同酵素ファミリーの一員である蟻酸脱水素酵素(FDH)においては、例外的にこれがGlnに置換されている。L.plantarumD-LDHにおいて、この残基をGln及びAspに置換したところ、特にGlnへの置換によりD-LDH活性は著しく低下したが、FDH活性が生じるまでにはいたらなかった。一方2-位にケト基をもつオキザム酸とこれをもたない蟻酸あるいはプロピオン酸は、ともに基質ピルビン酸と競合して本D-LDHを阻害したが、野生型酵素においては、前者による阻害が後者のそれよりはるかに強く、かつより顕著なpH依存性を示した。これに対しGln型変異酵素では、蟻酸及びプロピオン酸による阻害はやや増大していたが、逆にオキザム酸による阻害はこれらと同等ないしは下まわるまで大きく減少し、かつその顕著なpH依存性も失われていた。またAspに置換した場合においては、オキザム酸の阻害効果及びpH依存性は減少したものの、依然として野生型の傾向を示した。以上の結果から、D-2-ヒドロキシ酸脱水素酵素においては、Glu-264の負電荷が、プロトン化した触媒中心His-296とリガンド上の2-ケト基との相互作用を助長し、これによって触媒作用を促進すると共に、D-LDHの2-ケト酸に対する結合の特異性も高めていることが明らかとなった。一方2-ケト酸を基質としないFDHでは、この負電荷は不用であるため欠失していると考えられる。しかしFDHとしての機能をもつためには、この置換の他にさらにそのための触媒機構の付与が必要であることも示され、現在本D-LDHのFDHへの機能変換をとうしてこれを検討中である。 乳酸菌のアロステリック及び非アロステリックL-LDHに関しては、酵素の大量生産系を利用して現在良好な結晶が得られつつあり、結晶解析を行いつつある。
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[Publications] 田口速男 太田隆久: "Essential role of arginine235 in the substrate-binding of Lactobacillus plantarum D-lactate dehydrogenase" Journal of Biochemistry. 115. 930-935 (1994)
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[Publications] 田口速男,太田隆久: "Role of histidine 188 in fructose 1,6-bisphosphate-and divalent cation-regulated L-lactate dehydrogenase of Lactobacillas casei" Biosci,Biotech,Biochem.59. 451-458 (1995)