1994 Fiscal Year Annual Research Report
植物ミトコンドリアATP合成酵素サブユニット遺伝子の発現制御
Project/Area Number |
06660098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 教授 (80164292)
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Keywords | ミトコンドリア / F_1ATPase / トランスジェニック植物 / 植物遺伝子 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
サツマイモのミトコンドリアF_1ATP合成酵素δサブユニットの2種の核遺伝子クローンと1種のδ'サブユニット遺伝子の部分構造を決定した。これらの核遺伝子と、先に決定したチトクロムc酸化酵素Vcサブユニットの核遺伝子の5'上流域の配列には幾つかの類似した配列が存在したが、これらが転写制御に関わるシス制御配列か否かは不明である。2種のδサブユニット遺伝子は良く似た構造をしており、転写領域のみならず推定転写開始点の上流域も約2kbにわたって高い相同性を示したが、その一つのD1遺伝子の転写開始点の146bp上流には他方のD2遺伝子に無い880bpの挿入配列が存在した。この挿入配列の前後には10bpの配列が重複しており、何らかの転移因子である可能性がある。D1とD2の2つの遺伝子の5'上流域から翻訳開始部位までの配列と大腸菌のβ-グルクロニダーゼ(GUS)との融合遺伝子を作製してタバコ培養細胞に導入した。いずれの融合遺伝子も形質転換タバコ培養細胞で発現し、どちらの遺伝子も活性ある遺伝子であることが示唆されたが、2つの融合遺伝子は発現レベルや継代後の培養過程での発現パターンに違いが見られた。また、2つの融合遺伝子はそれらを導入した再生タバコ植物個体においても根、茎、葉などのいずれの器官でも発現をしたが、特に根における発現レベルにおいて2つの融合遺伝子の間で顕著な違いが見られた。
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