1995 Fiscal Year Annual Research Report
植物ミトコンドリアATP合成酵素サブユニット遺伝子の発現制御
Project/Area Number |
06660098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 教授 (80164292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森上 敦 名古屋大学, 農学部, 助手 (10211608)
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Keywords | ミトコンドリア / F1-ATPase / トランスジェニック植物 / 植物遺伝子 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
サツマイモのF1-ATPaseのδサブユニット遺伝子の一つのDAM1遺伝子の転写開始点の140bp上流には他方のDAM2遺伝子に無い888bpの挿入配列(lns-1)が、またDAM2遺伝子の転写開始上流-2062にはDAM1遺伝子に無い361bpの挿入配列(lns-2)が存在したが、これら挿入配列以外の部分では90%以上の高い相同性を示した。DAM1とDAM2遺伝子の約4kbの5′-上流配列と大腸菌のβ-グルクロニダーゼ(GUS)との融合遺伝子をタバコ懸濁培養細胞BY-2および再生タバコ植物個体に導入したところ、どちらの融合遺伝子も発現が見られ、いずれも活性ある遺伝子であることが示された。しかし、2つの融合遺伝子の培養細胞における発現は発現レベルと継代培養後の変動パターンに明らかな違いがあり、再生個体においても特に根における発現レベルにおいて顕著な違いが見られた。DAM1-GUS融合遺伝子からlns-1配列を欠失させると、培養細胞においてはGUS比活性は約3倍高くなり、DAM2-GUS融合遺伝子形質転換細胞とほぼ同じレベルにまで上昇した。しかし、形質転換タバコ植物個体の各器官におけるGUS活性の発現レベルやGUS活性の組織染色パターンは、lns-1配列の欠失によって大きな影響は受けず、DAM1遺伝子の転写開始点上流域にあるlns-1挿入配列は少なくとも個体の体細胞組織での発現においては顕著な影響を与えていないものと推定された。GUS融合遺伝子の5′-上流域からの欠失変異の解析から、DAM2-GUS融合遺伝子の根での高い発現レベルには-1538より上流域が重要であることが示唆され、-2171の位置に存在する363bpのlns-2配列か、あるいは-2865より上流の相同性のない領域にそうした機能が備わっている可能性が示唆された。
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