1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 達彦 京都大学, 農学部, 講師 (70221976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 道彦 京都大学, 農学部, 助手 (90252494)
清水 昌 京都大学, 農学部, 教授 (70093250)
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Keywords | ニトリルヒドラターゼ / トランスポザ-ゼ / プロモーター / Rhodococcus / 塩基配列 / 転写開始点 |
Research Abstract |
ニトリル分解菌であるRhodococcus rhodochrous J1において、ニトリルをアミドへ変換する酵素“ニトリルヒドラターゼ"遺伝子近傍の解析を行った。すなわち高分子量(H)型ニトリルヒドラターゼのαおよびβサブユニット遺伝子と5'上流領域4.6kbを含むDNA断片をEscherichia coli-Rhodococcusシャトルベクターpk4に挿入し、R.rhodochrous ATCC12674に導入したところ、アクリロニトリルを基質とした場合、高いニトリルヒドラターゼ活性が認められた。そこで、この領域に何らかの機能をもつタンパク質がコードされていると考え、本領域の塩基配列を決定した結果、H型ニトリルヒドラターゼ遺伝子の上流1.88kbの位置から始まるオープンリーディングフレームにMycobacterium bovisやStaphylococcus aureusのトランスポザ-ゼと各々78.8%、34%の高い相同性が認められた。本オープンリーディングフレームの両末端には19bpの逆向き繰り返し配列が存在することから挿入配列を形成していると考えられ、プラスミドリファレンスセンターでIS1164と登録した。このIS1164をプローブとして用い、R.rhodochrous J1の全DNAに対し、ゲノミックサザンハイブリダイゼーションを行った結果、IS1164の領域内を切断しない制限酵素で消化した時、いずれの場合も一本の濃いバンドの他に淡いバンドが3本以上あらわれたことから、ある程度相同性のある配列が存在することが示唆された。続いて、R.rhodochrous J1において、尿素で高度に誘導発現するH型ニトリルヒドラターゼ遺伝子の転写開始点の解析を行った。すなわち、合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いたプライマーエクステンション法により、2本のバンドが検出され、泳動パターンは培地中の誘導基質・尿素の有無に関係しなかった。シークエンスラダーを比較検討した結果、H型ニトリルヒドラターゼのβサブユニット遺伝子の開始コドンの上流71bpおよび48bpの位置から転写されていることが示唆された。またそれらの転写開始点の下流には逆方向繰り返し配列が存在し転写調節に関わっている可能性が考えられる。一方、H型ニトリルヒドラターゼ遺伝子のすぐ下流には短いオープンリーディングフレーム(ORF5)が認められたが、そのフレームの終止コドンの下流に転写終結シグナルとなりうるインバーティッドリピート構造が存在した。R.rhodochrous J1のRNAに対してノーザンブロット解析を行った結果、尿素を培地に添加した場合にのみ、1.8〜1.9kbのRNAが大量に転写されていた。上記のインバーティッドリピート構造は、推定される転写開始点から約1.7kbの位置にあることから、本ノーザンブロット解析の結果とほぼ一致し、H型ニトリルヒドラターゼはβサブユニット・αサブユニット・ORF5が一つのmRNAとして転写されているものと考えられる。
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[Publications] M.Kobayashi & S.Shimizu: "Versatile nitrilases:Nitrile-hydrolyzing enzymes." FEMS Microbiol.Lett.120. 217-224 (1994)
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[Publications] M.Kobayashi,S.Suzuki,F.Fujita,M.Masuda & S.Shimizu: "Occurrence of enzymes involved in biosynthesis of indole-3-acetic acid from indole-3-acetonitrile in Agrobacterium and Rhizobium." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 92(in press). (1995)