1995 Fiscal Year Annual Research Report
低温ならびに低栄養環境下に生育する硝化細菌の分離とその応用
Project/Area Number |
06660121
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Research Institution | College of Bioresource Sciences, Nihon University |
Principal Investigator |
徳山 龍明 日本大学, 農獣医学部, 教授 (90059684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 令二 日本大学, 農獣医学部, 講師 (70197193)
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Keywords | 独立栄養細菌 / 硝化細菌 / アンモニア酸化菌 / 亜硝酸酸化菌 / 低温性細菌 / 低栄養性細菌 |
Research Abstract |
低温および低栄養性硝化細菌の分離について当該年度において、下記のとおりの研究実績が得られたのでその概要について報告する。 本年度は、低温性アンモニア酸化菌の純粋分離に成功したので、その研究結果について記す。関東以北500ヵ所の土壌を分離源とし、その1gを10mlのHEPES培地に添加し、5℃、30日間の集積培養を行った結果、約30検体において良好な亜硝酸生成能を認めた。そこでこれらの培養について温度別(5,10,20,30℃)培養を行ったところ、20 >10 >30 >5℃の順で生育の良好な低温性菌株を選択した。このうち、亜硝酸生成能の最も高い1菌株を、すでに我々が確立したgellan gum 平板培地を用いた方法により純粋分離し、TYM9株(長野県白馬村土壌)とした。TYM9株の菌学的・生理的諸性質について検討した。培養30日後の亜硝酸生成量は、40μg/ml(30℃)、200μg/ml(10℃)、400μg/mlであり、本菌は生育温度20℃を示す低温性アンモニア酸化菌であった。グラム染色性は陰性であり、電子顕微鏡観察から形態は、Slender curved rods,サイズは、0.1-0.2×1.0-1.5μmであり、基準株ATCC25978株に見られるラメラ様細胞内膜組織は存在しなかった。ベン毛は観察されず、運動性はなかった。G+C(mol%)含量は、53.0%と測定された。これらの結果から、TYM9は、Bergey' s ManualによるとNitrosovibrio属と極めて類似していることから、本菌をNitrosovibrio sp. TYM9と命名した。本菌の生育の至適pHは7.8-8.0であり、培地中の緩衝剤としては、Good' s bufferが適していた。 以上の結果から、初期に計画した低温性のアンモニア酸化菌は得られたが、応用的利用への具体化までは至らなかった。なお、これらの結果については、1995年度日本微生物生態学会において発表した。現在、関係学会への論文投稿のため原稿を執筆中である。
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