1994 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌の気菌糸形成阻害物質の単離・構造決定と気菌糸の分化誘導機構
Project/Area Number |
06660131
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏目 雅裕 東京農工大学, 農学部, 助手 (10201683)
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Keywords | Streptomyces / 放線菌 / 形態分化 / 気菌糸形成阻害物質 |
Research Abstract |
1.Streptomyces albonigerの生産する気菌糸形成阻害物質の培養条件の決定と精製 今年度はまず、培養条件の検討を行った。S.albonigerをBennet's培地で培養し、各種抽出物を調製してその気菌糸形成阻害活性を測定した。その結果、濾液の酢酸エチル可溶酸性画分にのみ活性がみられた。次に、本培養の日数を3、5、7日と変えて培養したところ、5日間培養物が最も高い活性を示したことから、培養日数を5日間に設定した。これまでに使用している菌株は発酵研究所から分与されてから植え継ぎを繰り返している。その過程で、色素の生産性やコロニーの形態が異なる株が生じてきた。これらの菌株から11株を選び、その気菌糸形成阻害物質生産性を調べた。その結果、K株と命名した株の活性が最も高かったので、今後の実験にはこの株を用いることにした。次に、天然培地3種類、合成培地3種類で培養を行い、培地を検討した。その結果、Bennet's,Sucrose-Nitrate,Starch-Asparagine培地での阻害物質生産性が高いことが判った。これらの内、Sucrose-Nitrate培地では抽出物の収量が最も少ないことから、活性物質の含量が高いと考えて、本培地を培養様培地として選択した。以上の検討により、培養条件を確立できた。 濾液酢酸エチル可溶酸性画分のシリカゲルカラムクロマトグラフィによる精製を検討し、クロロホルム溶出により、活性を約10倍に精製することができた。 2.気菌糸形成阻害物質の探索と単離 研究室保存の菌株について、気菌糸を形成していない培養物から抽出物を調製し、気菌糸を形成する条件の同じ菌株に与えて、気菌糸形成阻害物質が存在するか否かを調べたが、これまでのところ、阻害物質を生産している菌株は見いだされていない。培地のみを抽出した場合にもかなりの量の抽出物が得られ、バイオアッセイに供する抽出物の量が少ないために活性がみられなかった可能性もあるので、来年度は抽出方法を検討するとともに更に多くの菌株について検索を行いたい。なお、この過程で気菌糸形成の誘導物質を生産する菌株を3株見いだすことができた。
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