1994 Fiscal Year Annual Research Report
移動運動補償装置を使った昆虫の行動制御物質の検索システム
Project/Area Number |
06660133
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐久間 正幸 京都大学, 農学部, 教務職員 (40135554)
|
Keywords | 移動運動補償装置 / 昆虫 / 行動制御物質 / トレッドミル / 定位行動 / 誘引 / プロビット / 選好性 |
Research Abstract |
移動運動補償装置とは、昆虫を球体上に置き、その動きと逆方向に球を回転させることで、仮想的な無限平面上での昆虫の動きを継続的に記録するトレッドミルである。供試虫の位置は常に一定なので、刺激の与えかたを意のままに制御でき、誘引物質など化学刺激に応じた昆虫の定位行動を刻々記録し、演算そして評価することができる。 当該年度は、移動運動補償装置の詳細について情報を収集してプロトタイプを試作し、それにもとづき装置の設計と製作をおこなった。装置の概要は次のとおりである。直径50cmの中空のアクリル樹脂の球体を、水平X,Y方向に配置した2軸の車輪と、斜め底部に配置したどの方向にも自由に回転するフリーベアリング1個の合計3点で保持する。これらの支点は剛性のあるフレーム上に固定する。車輪の駆動には当初予定していたステッピングモーターではなく、運動性能が優れたパルス制御ACサーボモーターを使用した。球体上の虫の位置を検出するビデオセンサーにはLED赤外線投光器を装着して画像のコントラストを改善し、供試虫の動きを確実に追従できるようにした。 上記のハードウェアの製作と並行して、計測と制御のプログラムの開発も進めた。ビデオセンサーは供試虫の像の重心位置の座標を、回線を通じてパーソナルコンピューターに送信する。まず位置情報をメモリーに記録すると同時に軌跡を表示するプログラムを開発した。また、モーターを数値制御するプログラムの開発もほぼ終了し、この両者を統合すれば装置の駆動がおこなえる段階にある。なおプロビット分析の対象を拡張して、従来は扱えなかった選好性のデータについても有効用量を算定するシステムを開発した。これは本研究の最終段階で誘引性の評価に適用する予定である。 本研究の期間は2ヶ年であるが、当該年度は以上のようにもっぱら装置の製作とプログラムの開発に費やされ、従って研究の成果を公表するまでには至らなかった。
|