1994 Fiscal Year Annual Research Report
植物のシスト線虫に作用する情報伝達物質と生態的防除
Project/Area Number |
06660138
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
福澤 晃夫 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60094843)
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Keywords | シストセンチュウ / ネコブセンチュウ / 運動賦活化物質 / ジャガイモシストセンチュウ / 孵化促進物質 / 孵化阻害物質 |
Research Abstract |
1.エゾノギシギシの線虫に対する運動賦活化物質:多くの非寄主植物の根部成分が、線虫の孵化は促進しないが運動のみを活性化(運動の賦活化)する。活性の強いエゾノギシギシを原料に抽出分離・精製を次の手順で行った。1)エゾノギシギシ(25Kg)のメタノール抽出、2)濃縮、3)水-酢酸エチル分配、4)シリカゲルカラムクロマト分離、5)Sephadex LH-20/MeOH分離、6)Toyopearl HW-40、7)高速液体クロマトODS-MeOH分離。以上の7段階の分離精製により、運動賦活化性を示す3種の物質A,B、Cを得た。Aの活性濃度はダイズシストセンチュウの二令幼虫に対して10^<-8>g/ml、ネコブ線虫に対して10^<-11>g/mlであった。単離した3種の化合物のNMR,MSスペクトルより,AをSitostero1-3-0-β-D-glucoside,BをSitosterolと推定した。そこで以下の手順で合成を行った。1)グルコースのアセチル化、2)HBr-AcOHによるtetraacetyl-glucopyranosyl bromide、3)炭酸銀を用いた粗Sitosterol の Koenigs-Knorr合成。収率約30%。この段階で天然物のアセテートとNMRノデータが一致した。今後、残る一種の類縁ステロイド(化合物C)の構造決定、及び先のグリコシドが活性の本体かどうかを確定するために、精製を繰り返し加水分解後運動賦活化活性を測定する必要がある。 2.ジャガイモシストセンチュウの孵化促進物質:米国より輸入したアグロバクテリウムリゾジェネス 15834菌株により発生させたトマトの毛状根を培養し、孵化促進物質を高濃度で生産できた。現在振盪培養に移り、大量の孵化促進物質の生産中である。 3.孵化阻害物質:土壌に普遍的に存在する孵化阻害物質を、減圧下液体窒素で冷却したトラップで採取した。この採取水をジクロロメタンで抽出し、これをガスマス分析に付したところ、分子量220、分子式C_<15>H_<24>Oを持つセスキテルペンと推定される化合物の存在を確認した。
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