1994 Fiscal Year Annual Research Report
食物繊維による大腸カルシウム吸収促進の機構と生理的意義
Project/Area Number |
06660141
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 博 北海道大学, 農学部, 助教授 (70198894)
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Keywords | カルシウム / 大腸 / 腎不全 / ビタミンD / ラット |
Research Abstract |
本研究の目的は、消化管各部位へのカルシウムの投与により、消化管全体のカルシウム吸収における、大腸でのカルシウム吸収の寄与を明らかにし、さらに発酵性の高い食物繊維の摂取が、この大腸カルシウム吸収に与える影響を明らかにすることにあった。大腸でのカルシウム吸収の程度や、また食物繊維摂取の影響が明らかになれば、カルシウム吸収に対して、有効な食物繊維の種類や食物繊維の摂取法を明らかにできること、特に、老化による小腸カルシウム吸収能の低下時や、腎不全などでのビタミンD代謝異常時の効率的なカルシウム補給、延ては、老人性骨粗鬆症や腎不全時の骨代謝異常の改善につながる。当該年度の研究実績については以下の通である。ミネラル吸収に対する食物繊維の影響については、概してネガティブな報告が多いが、最近カルシウム、マグネシウムに関しては、盲腸静脈-門脈濃度差において食物繊維の摂取によってこれらの吸収が促進したとする報告がなされており、我々もこれを確認した。すなわち、大腸へのカルシウムの投与により、大腸部位に高いカルシウム吸収能があることが確認された。また、食物センイの摂取はこの大腸部のカルシウム吸収を促進することも見いだされた。さらに、ビタミンD代謝に障害を持つ慢性腎不全モデルラットを用いて、大腸カルシウム吸収を測定し、合わせて、食物繊維摂取の影響を検討した。その結果、腎部分切除による腎不全ラットでは、カルシウム吸収は低下しており、水溶性の食物センイの摂取により、この吸収低下は防止された。
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