1995 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーオキシド産生(抑制)及び消去作用からみた植物性食品素材の評価と活性物質
Project/Area Number |
06660156
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大東 肇 京都大学, 農学部, 教授 (80026583)
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Keywords | スーパーオキシド / SOD / キサンチンオキシダーゼ / HL-60 / TPA / 発がん抑制 / 1'-Acetoxychavicol acetate / Rosmarinic acid |
Research Abstract |
スーパーオキシド(SO)は多くの活性酸素の源であり、好気的生物にとって一次代謝や生理機能(感染防御)において基本的な物質である。一方、その過剰な産生は細胞の老化やがん化を招くものとして、その制御も重要であることが示されている。SOを制御するために我々生物系は酵素(スーパーオキシドディスムターゼ)を備えているが、非酵素的な制御も重要である。この研究では、そこで日常的な食によるスーパーオキシド産生、もしくはその抑制の可能性を追求し、活性を担う各種成分の化学的、生理的特性を明らかにすることを目的とした。平成6年度にはSOの産生や消去作用を検出する系を種々確立し、これら系を用いて熱帯アジア産非栄養的食用植物種の活性評価を行ってきた。また、平成7年度には和産食用植物についての評価を行った。評価できた活性植物種の化学的研究を展開した結果、まずタイ国産ナンキョウから得られた1'-acetoxychavicol acetate(ACA)に興味が持たれた。ACAは極めて強力なキサンチンオキシダーゼ(XOD、SOを産生する酵素)阻害剤となり、また、分化HL-60を用いた細胞系においてもTPA刺激によるSO産生を顕著に抑制した。さらにACAはHL-60細胞内でのSO産生をも抑制することをフローサイトメトリー(FCM)で確認した。ACAは強力な発がんプロモーション抑制物質でもある。発がんプロモーション過程にはSOやそれに由来する各種活性酸素が一部関与している。従って、ACAの発がん抑制機構として、そのSO産生抑制作用があるものと示唆できた。一方、和産アオジソからSO捕捉物質として(R)-rosmarinic acid(RA)を単離・同定した。1,2-ジフェノール部を重要構造部位とするRAのこの捕捉活性はビタミンCより強力で合った。興味あることにRAは、ACAと違って、発がんプロモーション短期検出活性、Epstein-Barrウイルス活性化抑制作用には陰性あった。今後RAの動物試験結果と相まって、SOと発がんとの関連がさらに深く理解できるものと考えられる。
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[Publications] Akira MURAKAMI: "Possible anti-tumor promoting properties of traditional Thai food items and some of their active constituents" Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition. 3. 185-191 (1994)
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[Publications] 大東 肇: "野菜類の発癌プロモーション抑制効果とその活性成分" Oncologia. 27. 123-127 (1994)
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[Publications] Akira MURAKAMI: "Potent anti-tumor promoters from edible Thailand plants; 1,2-di-O-α-linolenoyl-3-O-β-D-galactopyranosyl-sn-glycerol(DLGG)and niaziminin" Molecular Biology of Cancer: Implications for Prevention and Therapy: The 3rd. Joint Conference of the AACR and the JCA. Feb. 13-18. C-22-C-22 (1995)
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[Publications] Akira MURAKAMI: "1'-Acetoxychavicol acetate, a superoxide anion generation inhibitor, potently inhibits tumor promotion by 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate in ICR mouse skin" Oncology. (in press). (1996)
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[Publications] 大東 肇: "植物性食素材に含まれる発癌抑制物質" 栄養-評価と治療. 12. 99-103 (1995)
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[Publications] 中村宜督: "アオジソに含まれるスーパーオキシド捕捉物質" 日本農芸化学会誌(臨時増刊号). 70. 12-12 (1996)
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[Publications] Hajime OHIGASHI: "Antitumor promoters from edible plants. In: Food Phytochemicals for Cancer Prevention II・・teas, spices, and herbs" ACS Symposium Series 547, American Chemical Society, Washington DC, 11 (1994)
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[Publications] 大東 肇: "がん予防食品の開発(大澤俊彦監修):未知の「がん予防」成分の検索" シ-エムシ-(東京), 9 (1995)
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[Publications] 村上 明: "機能性食品の研究(荒井綜一監修):発癌プロモーションを抑制する食品成分" 学会出版センター, 4 (1995)
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[Publications] Hajime OHIGASHI: "Antitumor promoters from edible plants: isolation, cancer preventive potential, and action mechanisms. In: Proceedings of International Conference on Food Factors" Springer Verlag, Tokyo(in press), (1996)