1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660163
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
岩見 公和 京都府立大学, 農学部, 教授 (00026569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 薫 京都府立大学, 農学部, 助手 (30226469)
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Keywords | 胆汁酸吸収系 / 空回腸位置置換手術 / 空回腸部分切除手術 / 小腸機能適応 / 絨毛伸長 |
Research Abstract |
膜消化にかかわる刷子縁膜水解酵素活性や糖・アミノ酸・胆汁酸などの吸収能は、小腸の部位によって差がみられる。このような勾配差の離乳後の発現には、内分泌ホルモンと食餌性因子のかかわりが示唆されているものの、調節や適応に関する知見は乏しい。そこで本年度は、空回腸に部分切除手術(resection,以下R群)と位置置換(transposition,以下T群)を施し、R,T両群における術後の絨毛伸長やNa^+依存性のグルコースおよび胆汁酸吸収系の適応の違いを調べた。術後の体重増加はT<Rの傾向であったのに対し、十二指腸、空腸、回腸の重量(g/cm)にはいずれもT>Rの傾向がみられた。因みに、Tの腸管は顕著な肥厚を示し、絨毛高にも有意な伸長があった。臓器重量は(g/100gBW)、胃、肝臓、盲腸でT≒R、膵臓でT>Rとなった。腸管各部位のDNA量(mg/cm)はT>Rであったが、RNA量(mg/mgDNA)とタンパク質量(mg/mgDNA)はT,R間で有意な差はなく、刷子縁膜水解酵素の比活性(U/mg protein)は術前部位と同じであった。反転腸管を用いたタウロコール酸とグリコースの吸収能も、位置置換された部位で新たな誘導や減退が起きないことが観察された。一方、膵臓ではDNA含量に差が無かったのに対し、RNAやタンパク質量(mg/mgDNA)にはT>Rの傾向がみられた。なお、膵消化酵素の比活性には差はなかった。また、食塊の移動速度も1時間後ではTの方で有意に遅いが、2時間後に差はみられ無くなった。このように、空回腸位置置換手術は単純な切除手術より残存部位の粘膜上皮細胞増殖に大きな影響を与えた。
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