1996 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸W3/W6バランスが食細胞のプロスタグランジン代謝調節に及ぼす効果について
Project/Area Number |
06660170
|
Research Institution | National Institute of Health |
Principal Investigator |
田中 康仁 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (30113484)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 富美夫 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (90142132)
|
Keywords | マクロファージ / 脂肪酸 / アラキドン酸 / エイコサペンタエン酸 / プロスタグランジン / プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素 / リポ多糖 / RAW264.7 |
Research Abstract |
本年度までの研究により、マクロファージ(MΦ)系細胞株RAW264.7におけるプロスタグランジン(PG)合成の調節にはアラキドン酸(AA)の遊離促進及びPGエンドパーオキサイド合成酵素(PGHS)-2の誘導以外に、過剰の2型PG合成を抑制する何らかの機構の関与が明らかになった。本年度は、種々のエイコサペンタエン酸(EPA)/AA混合比で修飾した細胞におけるPGHS活性の解析を行った。GC及びGC-MS分析により、細胞のAA含有量は修飾に用いるEPAの割合と逆相関するが、EPA含有量は混合比が1:1以上になって初めて上昇することがわかった。また、いずれの混合比による修飾細胞でも、そのホモジェネートの2型PG合成活性は未修飾細胞に比べ低く、3型PG合成活性は殆ど影響を受けていないことがわかった。これらの結果から、どのようなAA/EPA混合比による修飾細胞でも2型PGの合成は抑制されていること、3型PGの合成は抑制されていないことが示唆された。更に、リポ多糖刺激により2型PGの合成活性が上昇するのに対し、3型PGの合成活性は殆ど影響を受けないことや、両者の反応のタイムコース、Km値、あるいは非ステロイド系抗炎症剤の効果の比較により、EPAからのPG合成系とAAからのPG合成系は異なっており、異なる制御機構により調節されている可能性が示唆された。以上の検討によりどのような割合でもEPA摂取は2型PG合成の抑制に寄与し得ること、AAの過剰摂取による2型PGの過剰産生はある程度は抑制され得ることが示唆された。また、3型PG合成は2型に比べ低レベルではあるが、非ステロイド系抗炎症剤により阻害されにくくEPA/AA修飾細胞でも合成活性が低下しないこと等から、その産生調節には2型PGの場合と異なる方法が必要であると思われる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 田中康仁: "RAW264.7マクロファージ様細胞のプロスタグランジ合成におけるエイコサペンタエン酸の調節的役割について" 生化学. 68・(7). 609-609 (1996)
-
[Publications] Yasuhito Tanaka: "Delayed Release of Prostaglandins from Araehidanic Acid and Kinetic Chenges in Prostaglandin Hsynthase Activity on the Induction of Prostagland in Hsynthase Hafter LPStreatement of RAW 264.7 Macrophage-like Cells." Biol.Pharm.Bull.20・(5)(印刷中). (1997)
-
[Publications] F.Amano: "A cytotoxic effect of lipopolys accharide on a macrophage-like cell line,& 774.1,in the presence of cycloheximide" J.Endotoxin Res.3・(5). 415-423 (1996)
-
[Publications] Tetsuji Noda: "Differences in Nitric Oxide Synthase Activity in a Macrophage-like cell Line,RAW264.7 cells,Treated with LPS in the Presence or Absence of Interferon-r : Possible Heterogenity of iNOS Activity." J.Biochem.121・(1). 38-46 (1997)