1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660178
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
菅原 聡 信州大学, 農学部, 教授 (80021046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
只木 良也 名古屋大学, 農学部, 教授 (30126685)
中堀 謙二 信州大学, 農学部, 講師 (00143991)
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Keywords | 神の坐す森林 / 物語の森林 / 生活の森林 / 木をつくる森林 / 日本人の心 / 森林観 |
Research Abstract |
奈良県の吉野スギと京都府の北山スギを調査し、こだわって木を使う心とこだわって苗木を植えていく行為のつながりのなかで「木をつくる森林」という形で「日本文化としての森林」が創られてきたことが明らかになった。 神の坐す三重県伊勢神宮宮域林をはじめとする鎮守の杜の調査では多くの収穫があった。それに神仏習合の修験道のもとで創られてきた山形県出羽三山の森林の羽衣伝説の三保の松原のもっている深層の意味もある程度解明することができた。日本人には「心の通い合う森林」が必要なようである。 富山県砺波地方の屋敷林・島根県出雲地方の築地松、それに山形県庄内の海岸林の調査のなかで、自然の力を巧みに利用しながら生活の安全と向上を図って森林を創ってきたのは人間であるが、生活様式の変化につれて森林を無用の物として捨てていくのも人間であることを痛感させられ、「生活の森林」とは何なのだろうかと考えさせられた。 「日本文化としての森林」は近代化のなかで邪魔物と考えられ、破壊されてしまった森林も多い。最近になって「自然との共存」が叫ばれるようになったが、そのなかでの自然というのは原生林のようである。原生林も大切であるが、日本人が歴史と文化のなかで創り上げてきた森林こそ共存していくべき森林なのである。そのことを、岐阜県美濃地方の里山・長野県軽井沢の森林・東京都奥多摩地方の森林を取り上げて、新しい「日本文化としての森林」の展開していく方向を探ってみた。 私たち人間は「自然の子」なのであり、自然の大循環のなかでしか生きていけないのである。
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[Publications] 菅原 聡: "森林の風景" 交流. 37. 2-7 (1995)
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[Publications] 菅原 聡: "森林と人間" 日本教育会叢書. 22. 35-66 (1995)
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[Publications] 菅原 聡ほか: "日本人の自然観(2)" 森林野性動物研究会誌. 21. 44-52 (1995)
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[Publications] 菅原 聡ほか: "遠い林・近い林-森林観の変遷と文明-" 愛智出版, 166 (1995)
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[Publications] 菅原 聡ほか: "森と文明(講座 文明と環境 第9巻)" 朝倉書店, 259 (1996)
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[Publications] 菅原 聡: "たおやかな森林と夢のある林業" リンケイ新聞出版局, 188 (1996)
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[Publications] 菅原 聡ほか: "森林と環境の創造" 銀河書房, 365 (1996)
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[Publications] 菅原 聡ほか: "森林-日本文化としての-" 地人書館, 303 (1996)