1994 Fiscal Year Annual Research Report
森林における寄生蜂の寄生様式と寄主〜寄生蜂系の時空間的構造
Project/Area Number |
06660180
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
肘井 直樹 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80202274)
|
Keywords | 寄生蜂 / 寄主 / 穿孔性昆虫 / マツ / 樹皮厚 / 時空間的構造 / 性比調節 / 垂直分布 |
Research Abstract |
これまでの予備調査の結果、寄生蜂の垂直分布構造には、寄生蜂の産卵可能な樹皮厚と寄生蜂の飛翔力の種間差が、局所分布には樹皮厚と寄主密度が関係していることが示唆された(投稿準備中)。これをさらに詳細に検討するため、9〜10月に褐変したクロマツ、アカマツの試料木を伐採し、寄主と寄生蜂を穿入させて、高さごとの分布状況を現在調査中である。 また、予備調査において、2種の寄生蜂、Atanycolus initiator,Spathius brevicaudisの寄主利用様式とサイズに依存した性比調節の違いについて、いくつかの新しい知見が得られ、Charnovのモデルが樹皮下穿孔虫視寄生蜂にも適用可能であることが示唆された。これまでの一連の予備調査によって、寄生蜂と寄主の種組成ははぼ明らかにされ、また特定時期の寄主・寄生蜂の垂直分布構造もある程度明らかにされたため、今後は寄主群集の時空間的構造と寄生蜂の繁殖戦略の問題をより詳細に検討していく予定である。現段階では、ほぼ当初の目的、計画・方法に沿って研究が進められているものと思われる。ただし、6年夏は猛暑、乾燥の影響により、調査地のマツ枯れの発生が例年より早くまた量的にも多かったため、穿孔性昆虫の穿孔パターンおよび寄生蜂の寄生パターンも例年とは異なる可能性があり、7年度調査結果との比較によって慎重に検討していく必要がある。
|