1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660200
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
落合 啓二 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 学芸研究員 (40250154)
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Keywords | ニホンカモシカ / 個体群動態 / 生息密度 / 採食植物 / 糞中窒素 |
Research Abstract |
1995年2月に青森県下北郡脇野沢村において区画法によるニホンカモシカの生息密度調査を実施した。調査地としては、スギ幼齢人工林の占める面積割合がそれぞれ約50%、25%、10%の3地域を選定した。生息密度は、50%区で13.8頭/km^2、25%区で10.1頭/km^2、10%区で8.0頭/km^2であり、スギ幼齢人工林の面積割合が高い地域ほどカモシカの生息密度が高い傾向が認められた。 1994年10・11月、および1995年1・2月に同じく脇野沢村において、18頭の識別個体の観察を行い、各個体の行動圏を明らかにするとともに、直接観察法により採食植物を種レベルで量的に把握した。また、窒素(タンパク質)含有率の測定のため、主要な採食食物および各識別個体の糞のサンプルを採集した。秋期における糞中窒素の含有率は平均2.8%、冬期のそれは1.3%であり、冬期に大幅に低下した。糞中窒素の含有率は個体による差異が認められたが、行動圏を重複させているつがいの雌雄では同様の値が得られた。このことより、糞中窒素の含有率は各個体のなわばり内における食物条件の良否を示す指標として用いうることが示唆された。なお、主要食物の窒素含有率は、現在、測定中である。
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