1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660200
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, chiba |
Principal Investigator |
落合 啓二 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 学芸研究員 (40250154)
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Keywords | ニホンカモシカ / ハビタット管理 / 生息密度 / 栄養分析 / 糞中窒素 / 採食生態 / 区画法 |
Research Abstract |
青森県下北郡脇野沢村において下記のとおりの調査,及び同村において採取したサンプルの分析を行った. 1,スギ人工林の占める面積割合が異なる4地域(約50,25,10,0%)において区画法(直接カウント法)によるカモシカの生息密度調査を6回実施した.生息密度は4.5〜13.8頭/km^2であり,スギ幼齢人工林の面積割合が高い地域ほどカモシカの生息密度が高い傾向が認められた. 2,4231回の食み取り行動を直接観察し,採食植物を種レベルで量的に把握した. 3,カモシカ食物の栄養価評価のため,主要採食食物(3季延べ46種)の窒素(タンパク質)含有率を測定した.平均含有率は,11月に2.4%,1・2月に1.2%,5月に4.1%と明瞭な季節変化を示した. 4,カモシカの食物の栄養価評価のため,糞のサンプルを採取し,窒素(タンパク質)含有率を測定した. (1)糞中窒素の平均含有率は,10・11月に2.8%,12月に1.8%,2月に1.3%,5月に4.0%であり,採食食物の糞中窒素量と相関が認められた. (2)なわばりを重複させているつがいの雌雄で同様の含有率が得られた.そのため,糞中窒素の含有率は各個体のなわばり内における食物条件の良否を示す指標として用いうることが示唆された. (3)生息密度と糞中窒素量の相関関係は認められず,生息密度の違いをもたらしているであろう食物条件の違いは糞中窒素量では把握できなかった. 5,個体識別と行動圏の配置により生息頭数が既知の場所において区画法の精度検討を行った結果,落葉・積雪条件下の区画面積5haの場合のみ実際の生息頭数が正確にカウントされた.
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Research Products
(2 results)