1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660217
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
割石 博之 九州大学, 農学部, 助教授 (50253513)
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Keywords | 白色孔腐朽菌 / 一次代謝 / 二次代謝 / フェノールオキシダーゼレス / カタウロコタケ / ベッコウタケ |
Research Abstract |
本研究では、これまでと異なる観点から担子菌類の代謝の解析を試みる。即ち、フェノールオキシダーゼ(ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ)活性の低い菌のリグニン分解機能を探るものである。 1.代謝研究に用いる基質の合成(1)リグニンモデル化合物 β-1、β-O-4型のフェノールおよび非フェノール型のリグニンモデル化合物を合成した。さらに、予想代謝生成物の標品の合成も行った。(2)合成リグニン既報に従って、^<14>C-標識DHPを合成した。2-^<14>C-マロン酸を出発物質としてβ-^<14>C-コニフェリルアルコールを合成し、それを脱水素重合させることで側鎖標識したDHPを得た。 2.二次代謝系発現の生理学(1)生育曲線 人工液体培地の組成、培地pH、酸素濃度の菌生育におよぼす影響を検討した。ベッコウタケについては、いわゆる高炭素・低窒素源条件で二次代謝活性が発現する事が判明した。(2)マーカー基質 二次代謝発現の指標となる基質の検討を行った。ベッコウタケにおいて、これまで二次代謝系発現の指標となるとされていた染料(Poly R)脱色反応が一次代謝系発現条件下で観察されることが判明した。この脱色機構について現在検討中である。少なくとも、フェノールオキシダーゼが分泌されていないことは判明した。また、用いた基質が高分子染料であることから、菌対外活性であることも推察された。^<14>C-DHPを用いた実験から、リグニンの無機化が二次代謝発現条件下、酸素雰囲気下で最適化されることが明らかとなった。しかし、ベッコウタケにおいては、一次代謝発現条件下でもリグニン無機化が確認され、その機構について検討中である。少なくとも、染料やリグニンの添加によって、菌体外酵素の分泌が誘導されないことは確認している。 3.一次および二次代謝産物の検討(1)酵素活性 ベッコウタケにおいてリグニンペルオキシダーゼが分泌されていないこと、マンガンペルオキシダーゼの分泌量が、同培養条件下における既知菌株の1/100から1/1000程度であること、そして、二次代謝条件下でラッカーゼ活性が認められることが判明した。(2)関連酵素 リグニンモデルの代謝実験から、リグニン側鎖を直接攻撃する酵素の存在が示唆されたが、詳細は現在検討中である。
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