1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660219
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Research Institution | KYOTO PREFECTURAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢野 浩之 京都府立大学, 農学部, 講師 (80192392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 煕 京都府立大学, 農学部, 教授 (90046467)
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Keywords | スギ一般材 / 音響材料 / ギタ- / ピアノ / 比動的ヤング率 / tanδ / 振動板 |
Research Abstract |
前年度の研究成果に基づき、5%濃度含浸処理ベニヤを原料に高比重積層材、低比重積層材を製造し、比動的ヤング率、tanδの繊維傾角依存性を測定した。また、高比重積層材について繊維方向及び接線方向における比動的ヤング率、tanδの周波数依存性を測定した。 繊維傾角の増大に対して、積層材の比動的ヤング率は低比重材、高比重材ともにHankinsonの経験則に従う形で低下し、その傾向はブラジリアンローズウッドおよびドイツトウヒ材のそれとほぼ等しいといえた。また、繊維傾角に対するtanδの増大の傾向も、ブラジリアンローズウッドおよびドイツトウヒ材のそれと類似していた。 高比重スギ積層材の音響特性の周波数依存性については、低周波数側では、ブラジリアンローズウッドとほぼ等しい音響特性を示したが、周波数の増大に伴う見かけの比動的ヤング率の低下の程度は繊維方向、接線方向ともにスギ積層材の方が大きかった。tanδは、高周波数側でスギ積層材の方が両方向ともにブラジリアンローズウッドより高い値を示した。このような周波数依存性の差違は、主として積層材の高比重化が圧密による細胞の変形によってもたらされるためと推測された。 以上の結果をもとに、実際に5%濃度処理ベニヤを原料として、ギタ-表板用低比重板、ギタ-裏板用高比重板を製造し、これらを用いてクラシックギタ-、ウェスタンギタ-を多数試作した。製作にあたったギタ-メーカーからは、音量、音の明るさにおいては、既往の高級ギタ-より優れているとの評価がなされた。また、クラシックギタ-については、多くのギタ-演奏家より、ドイツトウヒを表板に、インディアンローズウッドを裏板に使用した高級ギタ-と同レベルの音質に達しているとの判断を得た。
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[Publications] H.Yano: "The changes in the acoustic properties of western red cedar due to metharsl extraction" Holz forschung. 48. 491-495 (1994)
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[Publications] H.Yano,K.Minato and H.Kajita: "Chemical treatment of wood for musical instruments" J.A coust.Soc.Am.96. 3380-3391 (1994)
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[Publications] 矢野浩之他3名: "ギタ-裏板用ブラジリアンローズウッド材の音響特性" 木材学会誌. 41. 17-24 (1995)
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[Publications] 小野晃明,矢野浩之: "楽器用木材の伝統と将来" 日本音響学会誌. 52(印刷中). (1996)