1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660222
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲谷 一宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00002353)
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Keywords | トラザメ科 / ヘラザメ属 / 分類学 / 模式標本 / 未記載種 |
Research Abstract |
平成6年度は本研究の初年度で、国内での標本の採集、世界の研究機関の標本調査と標本借用に努めた。その結果、日本国内での調査では、分類学的に重要な種類や標本はほとんど入手出来なかったが、海外の主要な研究機関の調査では大きな成果が得られた。特に現在までほとんど標本が知られていない空白の南太平洋、インド洋海域からはニュージーランド国立博物館(ウエリントン)やオーストラリア水産研究所(CSIRO、ホバ-ト)に保管されている標本を多数借用することができた。米国のハーバード大学などからも大西洋産の標本の借用手続きが進行中で、近々これらの標本も入手の予定である。 本研究の開始時にはすでに大部分の模式標本の調査が終了しており、この模式標本の情報と一般標本の比較検討を行った。その結果、今までほとんど知られていなかった本属の固体変異や地域変異、二次性徴などがある程度解明された。本属のシノニム関係の検討は過去に一度特徴的なごく一部の種群で行われたに過ぎないが、本調査の結果、これ以外の混乱している多くの種群内でシノニム関係がある程度予測できる見通しを得た。さらに、一般標本を模式標本や上で得られた変異の情報などを検討した結果、手元にある標本中には、現在の所、少なくとも20種程度の新種が混在していることが予測された。しかし、深海性のサメの1属内に数10に及ぶ多くの種が存在するとは一般的には考えにくく、本属の生態的な特性や分布、海底地形などを考慮して、再度この結果を吟味する必要がある。一方、これら新種らしき個体を含めた手元の種を形態学的に検討した結果、少なくとも3つの種群に分けられ、これら3群はいくつかの独立した形質で支持されるため、属内での類縁関係を反映した群である可能性が高い。
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