1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660222
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲谷 一宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00002353)
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Keywords | トラザメ科 / ヘラザメ属 / 分類学 / 模式標本 / 未記載種 / シノニム関係 |
Research Abstract |
本研究の2年目である平成7年度は、前年に引続き標本の入手と各他の博物館の標本調査を行った。国内では、今まで知られていなかった東京湾の海底渓谷では刺網漁船に、さらに東シナ海で深海の延縄漁船に乗船し、標本採集をすると共に、近隣の聞込み調査を行った。また、北海道大学の練習船で、東北地方沖の深海部のトロール調査を行った。博物館については千葉県立中央博物館、茨城県自然博物館を訪れ、所蔵標本の調査を行った。海外では今まで標本の極めて少なかった南半球の標本を数多く有するニュージーランド国立博物館、オーストラリア水産研究所からは引続き標本を借用し、各研究機関のサメを専門とする研究者と意見の交換を行った。 標本調査では本学所蔵標本、借用標本の測定と分析作業、模式標本のデータとの詳細な比較検討作業を行った。シニニム関係の検討結果では、大西洋のマデイラ諸島から記録されたA.maderensisは、アイスランドから報告されたA.laurussoniのシノニムと判断された。さらに、後者はA.atlanticusと同種の可能性が大きいが、A.atlanticusの模式標本が非常に小さいこともあって、現在の所明確な結論を出すことができないことが判明した。多くの東シナ海、南シナ海から報告された種は日本近海に分布するA.platyrhynchusやインドネシアのA.verweyi,A.sibogae等と極めて近似することが明らかになり、種の異同を一層詳しく検討する必要がある。すでに、ニュージランドやオーストラリアの研究者によって公表された未命名種に関しては、その多くが新種であり、そのいくつかは両地域に出現することが判明した。現在までに、本属魚類の種は、3群に分けられることが強く示唆されているが、本年度の研究で頭部側線系の形態がこれらの3群に極めてよく対応していることが分かり、これらの3種群の存在が一層確実になった。
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