1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松谷 武成 東北大学, 農学部, 助教授 (90134030)
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Keywords | マガキ / 放卵 / 放精 / セロトニン / 頭部神経節 |
Research Abstract |
本年度は、個体レベルにおけるマガキの放卵放精応答をフィールド(松島湾)および実験室で検討するとともに、マガキの放卵放精制御中枢の検討の一環として、頭部神経節の形態を詳細に検討し、さらに中枢神経節におけるセロトニン神経の分布を検討した。 1.個体レベルの放卵放精応答の検討 (1)激量と放出配偶子数の関連の検討:マガキ精子とセロトニン注射により、マガキの放卵放精を誘発した。その結果、いずれの刺激に対しても刺激の強さに依存して放出配偶子量が増加し、雌雄で応答様式が若干異なるものの、反復刺激に対して2時間以上の不応期は認められなかった。 (2)フィールドにおけるマガキ個体の放卵応答の検討:松島湾において、マガキ雌を一個体づつ容器に入れて飼育し、放出配偶子を数日毎に計数し、放卵放精期間中の個体ごとの放卵応答を検討した。その結果、少なくとも本実験条件下では、マガキはフィールドでも、非常に頻繁に微量な放卵を繰り返すことが確認できた。 2.マガキ頭部神経節の形態と中枢神経系のセロトニン神経の分布を免疫組織化学的に検討した。その結果、右頭部神経節には約1900個の神経細胞が分布し、セロトニン免疫陽性細胞は、頭部神経節の前部から中部にかけて散在していた。一方、内蔵神経節にはセロトニン免疫陽性細胞は数が非常に少なかった。 *以上の結果から、マガキは環境からの刺激に対して容量依存的に、頻繁かつ鋭敏に応答して放卵放精を行い、そうした外部からの刺激がセロトニンにより伝達されて放卵放精を誘起している可能性が考えられた。
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