1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 農学部, 教授 (00011883)
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Keywords | 水産資源管理 / 遊漁 / 釣り / 海洋リクリエーション / 東京湾 / かれい類 |
Research Abstract |
近年釣りは手軽なリクリエーションとして大変盛んで、その漁獲量もかなりに達すると考えられる。従来水産資源の解析において漁業による漁獲のみを対象とし、遊漁については十分な統計もなく、漁獲量もあまり大きくないとして無視してきた。しかし、地域・対象魚種によってはこれを無視できないとも言われるようになってきた。そこで、特に釣り人口の多い首都圏、中でも東京湾を主な対象地域として、水産資源の状況と遊漁による漁獲の実態を明らかにし、資源管理に及ぼす遊漁の影響を評価する方法の検討を行う。 本年度は初年度であり、まず、釣りによる漁獲が漁業による漁獲に対してどの程度になるかを把握し、研究対象をしぼるための予備的検討を行った。これまでの知見から、比較が可能な13種(マダイ、チダイ、キダイ、クロダイ、ブリ、さば類、マアジ、かれい類、スズキ、ヒラメ、タチウオ、スルメイカ、たこ類)について、8大海区別に釣りによる漁獲の漁業による漁獲量に対する割合を見たところ、104の海区・魚種の組み合わせのうち22が5%を超えた。そのうち5ケースは20%を超え、太平洋中区のチダイのように釣りの漁獲量が漁業の漁獲量の2倍近くに達しているケースもあった。太平洋中区は13種中7種と半分以上で5%を超え、瀬戸内海区でも5種で5%を超えた。このように首都圏、あるいは近畿圏に近い釣り人口の多い地域では、かなりの魚種で遊漁の漁獲量が無視できない。 さらに細かく見ると、地域・魚種の組み合わせで釣りが問題となるケースもさまざまであろうことが予想される。東京湾ではかれい類で釣りの漁獲量が大きいとの指摘もあるので、次年度にはこういった種類を中心に検討したい。
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