1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660231
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
石丸 隆 東京水産大学, 水産学部 (90114371)
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Keywords | 下痢性貝毒 / 渦鞭毛藻 / 栄養形式 |
Research Abstract |
下痢性貝毒原因種のDinophysis acuminataを,昨年度単離した微細藻類と混合培養し,細胞内色素の顕微鏡による目視観察と蛍光微鏡に取り付けた測光装置による蛍光強度の経時変化を調べた。また,各種の有機物を添加した海水強化培地中で培養し,その後の細胞数を経時的に測定し増殖に対する効果を観察した。 単離した6種のクリプト藻Plagioselmis sp.および2種のプラシノ藻Pyramimonas sp.との混合培養では,Plagioselmisのうちの3種とPyramimonas 2種との混合培養において,D.acuminataの細胞内色素が長時間維持されることが観察された。しかし,いずれの混合培養においても,D.acuminataの増殖は促進されなかった。また,これらの藻類との混合培養に昨年度,増殖促進作用がみられたグリコール酸を添加しても増殖を維持することはできなかった。微細藻類の破砕液中ではD.acuminataは,細胞内色素を維持しないことから,同種は微細藻類を直接取り組むことによって細胞内色素を維持していることはあきらかであると考えられるが,グリコール酸の単独添加や,バクテリアとの混合培養においては,ほとんど色素を失った細胞も長期間(1ヶ月以上)生存することなどから,本種は,クロロプラストの蓄養による共生的な栄養形態ばかりでなく,従属栄養によっても生存可能であるとの結果が得られた。しかしながら,本種の明かな増殖は,現在までに確認されておらず,増殖にはさらに未知の要素が必要であると考えられる。
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