1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06660248
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高野 和則 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (30001605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 明洋 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (40222103)
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Keywords | リュウキュウアユ / 成熟 / 成長 / 卵質 |
Research Abstract |
(1)リュウキュウアユは本州のアユとは亜種レベルで異なり、その生息域も奄美大島と沖縄島に限られていた。しかし沖縄島では河川環境の悪化により、1980年代に入って絶滅した。残された奄美大島のリュウキュウアユを沖縄島の河川に復元すべく、1991年から放流用の種苗生産が始められたが、当初は良質卵が得られなかった。これはかつての沖縄島におけるリュウキュウアユの産卵盛期が1月中旬で、水温も18℃以下であったのに対し、自然日長下で地中飼育されたものは、水温がなお高い11月に成熟に達するため、排卵が妨げられ、あるいは卵質を悪化させることによると考えられた。 本実験では1993年6月より12月まで人工光による長日処理(18L6D)を行い、そのあと自然日長に戻した群(長日処理群)と、全期間を自然日長下で飼育した群(自然日長群)とを設けた。その結果、自然日長群は11月下旬に成熟に達したのに対し、長日処理群では1月下旬に成熟個体が現れた。また採卵に用いた親魚のうち正常卵を持つものの割合は自然日長群で39%であったのに対し、長日処理群では90%であった。以上の結果から、長日処理により高水温期の成熟を抑制し、成熟時期を遅らせることにより良質の卵が得られることが明らかになった。 (2)自然河川ではほぼ同じ高水温、自然日長下でも産卵が早まることはない。これまで本州アユでは産卵期に大型アユほど産卵が早期に集中し、産卵の遅れる個体は小型のものに多いことが知られ、成長と成熟の関係が示唆されている。次の実験では投餌量によって成長差をもたらすことにより、成長と成熟時期について調べた結果、本州アユでの観察結果が実験的に証明された。また極めて成長の悪いわい(矮)小個体でもほとんどが成熟することが確かめられた。これらの結果についてはさらに現在解析中である。
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