1994 Fiscal Year Annual Research Report
新しい食用水産動物としてのミネフジツボの増養殖に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06660251
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 水産学部, 講師 (40161137)
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Keywords | ミネフジツボ / 生殖サイクル / 幼生の餌料 / 付着基質 |
Research Abstract |
1.陸奥湾における生殖サイクルの解明:1994年6月から経月的に入手した標本の生殖巣について組織観察を行っている。現在までの結果では、卵巣は9月から発達を開始し、11月末頃には卵巣に成熟卵と退化した卵が認められ、この時期から外套腔に受精卵塊の抱卵が認められるようになる。抱卵個体は2月まで認められた。 2.好適水温と成長速度:当歳フジツボをアルテミア孵化幼生を餌料として10、15、20、25℃の水温で水槽飼育した結果、25℃では6カ月後には約90%が死亡した。その他の水温では、低水温ほど成長が速く、18カ月後には10℃が殻底長径が平均28mmに達したのに対し、20℃では平均25mmであった。 3.孵化幼生の大量飼育に関する基礎研究:1994年末に孵化した幼生を用い、幼生の飼育餌料と発生速度について検討を行った。その結果、1〜21の小規模飼育の場合、キプリス幼生への変態率が高い餌料藻種および発生速度(キプリスへの最短到達日)は、幼生密度が1個体/mlでは、Asterionellajaponica:83%:19日、Thalassiosira nordenskioeldii:11%18日、Skeletonema costatum:0.5%:25日となり、Chaetoceros calcitransでは幼生がVI期に達せずに死亡した。以上の結果から、本種幼生の餌料としてはA.japonicaまたはT.nordenskioeldiiが適していることが明らかとなった。 4.付着期幼生の付着条件の検討:陸奥湾にウェブロン(耐水紙)、塩化ビニル、シリコン、ゴム、FRP,ポリエステルおよびテフロンの付着試験板を垂下した結果、塩化ビニル板、ゴム板にだけ付着が認められ、その他の付着板には付着はみられなかった。光、塩分濃度、水温、などの条件については現在実験中である。 5.生活史制御を目的とした繁殖条件の検討:低水温経験時間の異なる3つの実験条件下で10カ月間飼育を行い、幼生の孵化の生起を継続して観察した。その結果、本条件下では幼生の孵化は認められなかったが、1995年1月に取りあげた個体には過塾受精卵が認められた。今後、水温条件について再検討し、再実験を行う予定である。
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