1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい食用水産動物としてのミネフジツボの増養殖に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06660251
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 水産学部, 講師 (40161137)
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Keywords | ミネフジツボ / 大量飼育 / 植食速度 / ペニス長 / 幼生の分布 / 成長速度 |
Research Abstract |
1.Asterionella japonicaを用いて20lの規模の幼生の大量飼育を行ったところ、幼生密度1個体/ml、プロペラ撹拌法により初期幼生数の約22%がキプリス幼生に変態し、3900個体のキプリス幼生が得られた。最短発生日数は22日であった。Skeletonema costatumとA.japonicaを与えた幼生の植食速度(cells/h)は発生段階とともに増加した。ただし、6日齢のVI期幼生は1日齢のそれに較べ4倍ちかく植食速度が減少し、IV期と同様の値となった。S. costatumとA. japonicaでは植食速度は異なったが、同化率はほぼ同様の値を示し、各発生段階で必要とされる炭素量は一定と考えられた。 2.水温を自然条件より早めて変化させ、ペニス長の変化を調べるとともに繁殖活動の生起を調べたところ、ペニス長は水温の低下とともに増加する傾向が認められたが、幼生の孵化時期を天然に較べ早めることはできなかった。今後、日長などを考慮する必要があると思われる。 3.幼生の分布と出現時期を調べたところ、キプリス幼生は1月中旬にはすでに出現しており、3月にはほとんどみられなかった。また、西湾よりも東湾にキプリス幼生が多く出現している傾向が認められた。幼生の付着水深を調べた結果、水深10mで最も付着が多い傾向が認められた。今後鉛直曳きによる幼生調査を行うことにより詳細な幼生の分布や付着時期を明らかにできるものと考えられた。 4.陸奥湾と越喜来湾における当歳フジツボの成長を比較すると、陸奥湾のフジツボで成長速度が早い傾向がみられた。越喜来湾の場合、殻底長径が40mmに達するのに約3年を要した。10、15、20℃の異なる水温条件下において1歳フジツボの成長を追跡した結果、10℃のフジツボで成長、生残率ともに最も優れ、20℃では600日後には生残率は約50%に低下した。
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