1994 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類の成長ホルモンとビテロゲニンに関する免疫生化学的研究
Project/Area Number |
06660253
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 彰彦 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40091483)
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Keywords | サケ科魚類 / 成長ホルモン / 酵素免疫測定法 / 免疫生化学 |
Research Abstract |
サケ科魚類サケ属においては、一生に一度の産卵を行いその生涯を終える魚種がほとんどであるが、その寿命は様々である。この様な生活史の違いは、遺伝的な問題以外に説明がつかない。しかし、成長と成熟との関わりは最も関係があると推察できる。そこで、成長に強く関わる成長ホルモン(GH)と雌魚の成熟指標となるビテロゲニン(VTG)に注目し、その動態を詳細に観察することにより成長と成熟を物質レベルで解明する手がかりを得ることを目的とした。 初めに、GHを測定するために酵素免疫測定法(ELISA)の確立を以下の手順で行った。供試魚には遊楽部川に遡上したサケおよび北大水産学部附属七飯養魚実習施設で飼育中の数種のサケ科魚類を用いた。抗血清はrecombinantサケGHを家兎に免疫することにより作製した。抗血清の特異性を確認するため脳下垂体パラフィン切片を作製し、免疫染色を行った。ELISAはアビジン・ビオチン系を用いたサンドウイッチ法により行い、反応温度、反応時間およびサンプル希釈バッファーなどについて検討した。 免疫組織の観察結果ではGH産生細胞のみが染色され、抗体の特異性を確認した。サケGHのELISAにおける反応温度および反応時間は一次反応が24℃、8時間、二次反応は4℃、16時間に確定した。サンプル希釈バッファーは0.01Mリン酸緩衝液(0.2M NaCl、0.05%正常ウサギ血清を含む)を用いた。確立した測定系は、0.5ng/mlが測定限界であり、血中GH量が測定可能となった。また、数種のサケ科魚類の脳下垂体抽出物および血清の希釈系列は、サケGHスタンダードカーブと平行であった。これらのことからサケGHの本ELISA系は他のサケ科魚類においても有効であることが分かった。
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