1995 Fiscal Year Annual Research Report
水産食品に含まれる無機質の化学形態および栄養学的意義に関する研究
Project/Area Number |
06660259
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
鈴木 健 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (90100966)
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Keywords | 無機質 / 酵素処理 / PH / アサリ / ハマグリ / カキ |
Research Abstract |
水産食品には各種の有用な特徴があることが知られているが、本研究では水産食品に含まれている豊富な無機質に着目し、各種無機質の栄養学的な利用率を高めるための基礎的な実験を計画した。栄養素の無機質が我々の体内で吸収されるには、水溶性であることが必要条件であるが、食品を調理加工し胃腸内を通過すると、どのように無機質が変化するかはあまり調べられていない。本年度の研究では、試料としてアサリ、ハマグリ、カキを用い、100℃20分間の加熱処理の後、胃腸内を模倣したpH2や6およびα-アミラーゼ、ペプシン、パンクレアチンなどの消化酵素で処理を行い、水溶性画分に含まれる鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどの微量無機質の分布を原子吸光分析機で測定した。また、これらの化学形を追究するため、無機質が結合していると考えられる糖質とタンパク質についても比色法で測定した。その結果、鉄の溶出は未加熱のアサリでは各消化管を模倣した酵素処理が増えるにつれて増加し、ハマグリではα-アミラーゼとパンクレアチン処理により著しく鉄が溶出した。亜鉛ではアサリとハマグリで溶出のパターンが類似しており、パンクレアチン処理で溶出が多くなった。一方、マグネシウムは未加熱のアサリではペプシン処理で溶出が増大し、ハマグリにおいてはα-アミラーゼとパンクレアチン処理によるマグネシウムの溶出量に差が認められた。また分子量分布の実験結果から、pHだけの処理よりも酵素処理の方が無機質を含む成分の分解が多いことが示された。
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